巨大な船に囚われた少女の脱出劇
舞台は「胃袋」の異名を持つ巨大な船舶『モウ』そこには腹を空かせたゲスト達がやって来る。しかし『モウ』を訪れた者は誰一人として戻って来なかったという。
本作は『モウ』に囚われた少女『シックス』の脱出を描くアクションゲームだ。
総論
黄色いレインコートの少女と暗く不気味な世界観のギャップが光るアクションゲーム。
操作やアクションは堅実でヒントも出るので難易度は決して高くない。ただ攻略に気付かないと繰り返し挑戦する事もある割にリスタートはちょっと長い印象。
恐怖というよりも怪奇を描いた本作。ビジュアルに惹かれた人は買いだろう。
『モウ』に秘められた謎を解き明かせ
ゲーム中でストーリーに関して語られないが、公式サイトにて世界観などに軽く触れているので見ておきたい。
胃袋の異名を持つ『モウ』に入った者は二度と戻らないという。プレイヤーは『モウ』に囚われた空腹の少女『シックス』となり、脱出を目指す中で人々の様々な末路を目撃するだろう。勿論『シックス』もその仲間になり得る。
果たして乗客は何に絶望したのだろうか。
随所に登場する瞳のエンブレム。彼らは何に怯えたのか。
随所に物語のヒントが散りばめられているので、背景もじっくり観察したい作品だ。
異様ながら美しさを感じる世界
『モウ』の中は小さな『シックス』と比べ余りに大きな物が並ぶ巨人の世界。その巨人の世界で知恵と機転を駆使して脱出を目指すことになる訳だが、小さな彼女が通るルートはとても暗く危険に満ちている。
暗い船内を僅かな明かりを頼りに歩くことになる本作。一見するとホラーゲームの様な様相ではあるが、不思議と強い恐怖は持続しない。
何故なら暗闇の中で強調される『シックス』が灯す明かりや、暗い船内に射し込む光の美しさに目が奪われるからだ。中でも黒に染まる世界で『シックス』の黄色いレインコートは一際美しい。
リアクションを楽しめるかが鍵
堅実なアクションゲームで特別目立ったアクションは見受けられない。走り跳び登ると言った基本的なアクションの他に、明かりを付ける・物を掴み投げる位のものだ。
十分に研究尽くされてしまった2D的アクションゲームでは、アクションその物よりプレイヤーの行動に対する反応が楽しさを演出することになる。本作でもプレイヤーの操作に合わせた『シックス』の振る舞いや、異形な登場キャラクターの様々な反応を楽しむことが出来る。
愛らしい『シックス』や『ノーム』だけでなく異形の者たちも魅力的に描かれている。
『LIMBO』を彷彿とさせるダークファンタジー。時に美しく、時に不気味で、時に残酷な『LITTLE NIGHTMARES-リトルナイトメア-』の世界。心惹かれたら是非。
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