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【評価/感想】PSVRで2丁拳銃をぶっ放せ『ライアン・マークス リベンジミッション』レビュー

VR版『タイムクライシス』である『ライアン・マークス』

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 子供時代に映画などの影響を受け「拳銃ごっこ」を楽しんだ人は少なくないだろう。そんな空想を形にしてくれたのが『タイムクライシス』を筆頭としたガンコンゲーム達だった。

 時は流れ世はVR黎明期。『PlayStation VR WORLDS』の一つ『ロンドンハイスト』はVR空間で両手を使った映画的な演出とガンアクションを提示し、一歩進んだ「拳銃ごっこ」の世界を見せてくれた。


 『ライアン・マークス リベンジミッション』は、そのシステムと世界観を継承し洗練させた作品となっている。


VRらしい映画的ガンアクション

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 本作のガンアクションは『タイムクライシス』のVR版に近い。自由移動できずカバーポイントから体を出し撃ち合い、敵を全滅させると先へ進む形をとっている。


 主人公ライアンは特殊部隊あがりで、腰には2丁のハンドガン、背中にライフルなどのメインウエポンを2種類と重装備。メインウエポンの弾が切れたら、ホルスターからハンドガンを抜き早撃ちといったプレイも出来る。


 自由移動こそ出来ないが、カバーポイントではVRらしくホルスターからハンドガンを抜き取ったり、リロードに両手が必要だったりと多彩な操作が可能になっている。




 極めつけが両手持ちの効果である。両手持ちと言っても2丁拳銃のことではなく、両手で銃を持ち構えることだ。


 これが「拳銃ごっこ」にバシッとハマる。映画の主人公みたいに腰から素早くハンドガンを抜いたら、銃を両手で構え進み、サイトを覗きながら敵を撃ち抜く。そして左手で素早くマガジンを取りリロードし次の敵に備える。


 この全ての動作が噛み合い華麗に撃ち抜きとリロードをキメれば気分は『ジョン・ウィック』。語彙力は低下し楽しいの一言しか出てこなくなる。


VRを生かしたスタントアクション

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 アクション映画で忘れちゃいけないのがスタントである。作中でライアンも『ミッション:インポッシブル』や『ダイ・ハード』を彷彿させるスタントを決めてくれる。

 ビルの壁面にあるパイプを登り敵の裏をかいたり、犯罪の証拠を得るため埃まみれの通気口を這いずまわる。挙句の果てにクレーンが衝突し崩壊するビルから飛び降りると、王道の展開が詰まっている。

 中でも私が面白かったのが通気口を進むシーンだった。様々な映画やゲームで何度も見た通気口を進むシーン。VRとは言え体験する機会が訪れるとは思わなかったのだ。

 交互に両手を使い狭い通路を進んでいく、もちろん途中で格子の間から様子を窺ったりとお約束も忘れていない。ここでVRで描かれる空気感が効いていた。

 本作は空気の実在感が凄い。煙や埃、粉塵といった粒子が空気中を漂っており、空間の奥行きを強く感じるのだ。だから一見地味に見える通気口でも面白い。

 差し込む光によって埃が浮き上がる通気口を進んでいると、「これがイーサン・ハントの視界か!」となり『ミッション:インポッシブル』のテーマが頭に流れてくる。

 「拳銃ごっこ」の次は「スパイごっこ」ときた。かつて男の子だった時代を思い出さずにはいられない。


欠点を補う魅力に溢れている。

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 実のところ欠点は少なくない。ストーリーや登場キャラクターは魅力に欠けるし、VR体験の詰め合わせの様な余計なイベントも散見される。自由移動できないので敵AIが引っ掛かると狙えず、進行不可となりリトライすることも数回あった。

  しかし技術デモ版『ロンドンハイスト』の製品版だけあり、コア部分の楽しさは極まっていた。2本のMOVEコントローラによる両手を使ったガンアクションやスタントは欠点を補うに十分な体験である。

 少なくともゲームで「拳銃ごっこ」を楽しみたい人の期待に応えてくれる。童心に帰り、思いっきり格好つけながらプレイしたい。その際は座位でなく、是非立ち上がって楽しんで欲しい。