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『LITTLE NIGHTMARES-リトルナイトメア-』を考察してみた。

リトルナイトメアを色々考察してみた

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注:5/8一部追記・改変
 『LITTLE NIGHTMARES-リトルナイトメア-』の可愛らしさと不気味さのバランスは素晴らしい。普段はホラーゲームを敬遠してる人達も興味を持った様子が伺える。

 情報量も少なく余りストーリーを考察する余地が無いのだが、ネタバレありで感想や考察を書こうと思う。

ストーリー考察(ネタバレ注意)

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 はっきり言うと謎だらけの本作。伺い知れることは断片的であやふやだ。子供を飼育し食料としている様子が伺える『モウ』の下層。その飼育した食材を用いてゲスト達を集めてる様だ。

 順当に考えるとゲストは『レディ』の食事なんだろうが、それだと飼育した子供達を利用せずゲストを呼び込む理由が分からない。身体のサイズが違うので種族が異なる印象だが、それが理由なのだろうか。



 さて『シックス』と『モウ』の支配者『レディ』は同族の様だ。と言うのも『ノーム』を食べた時点で黒い『シックス』が現れ明かりを消しており能力の片鱗が見て取れる。食事をするごとに本来の能力が目覚めていったのだろう。


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黒い影と共に現れるもう一人の『シックス』



 また『レディ』の部屋には5人並んだ肖像画が飾られており、一族が『モウ』で暮らしていた事が伺える。さらにゲストエリアの廊下には『レディ』と『シックス』と思われる二人が並んでいる肖像画が飾られており、『シックス』が描かれた黄色い衣服の人物であると示唆されている。


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 仮面で顔を隠し鏡を割った『レディ』の容貌は余り美しい代物では無かったと推測できる。もし彼女が非情な手段をもって他の同族を退けたとしたら、その容貌に理由がありそうだ。


 大筋は分かるが背景や理由はさっぱりな本作。登場キャラクターの魅力は優れているので、もう少し物語を掘り下げて欲しかった。仕方ないので考察(妄想)で補うことにしよう。


5/11追記
 海外ではコミックも出ている模様。世界観に関してはこちらが参考になりそうだ。
Little Nightmares Digital Comics - Comics by comiXology

 コミックのプレビューでは『シックス』が都市で捕らえられたシーンや『モウ』で出会った仲間達の姿が確認できる。

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『シックス』は都市で過ごしていた過去が有るようだ。


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最初から独りだった訳ではなく『シックス』には5人の仲間が居た様子。

 ゲームとコミックがどこまで世界観を共有しているか分からないが、英語に抵抗がない人は手にしてみるのも良さそうだ。




『シックス』に見る子供の飢餓感

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 『シックス』は幼児のアイコンでもある『黄色のレインコート』を身に纏う。そして幼少期には高い感受性と相まって恐怖体験が悪夢に現れることも多い。

 『シックス』が相対した悪夢の様な恐怖は特徴が強調されている。それは漆黒の暗闇。異常に長い腕。暴力的な調理。達磨の様な肥満体など多岐に渡る。

 その中で特に繰り返し強調されたのが空腹、飢餓感だ。そもそも以前は『Hunger』とド直球のタイトルだった本作なので、ここに触れない訳にはいかないだろう。


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 大人でも空腹は辛い体験であるが子供の空腹感はちょっと異なる。身体が未熟な子供は大人と違って低血糖になり易いのである。それこそ子供に死を感じさせる苦痛だ。
 これがアンパンマンに見られる「お腹が空いて動けない」であり、子供に3時のおやつが存在する理由になっている。


 そして空腹に襲われた『シックス』が空腹の果てに食物の対象が変わっていくのも、彼女が幼児の象徴であることで説明できないだろうか。


 私達の食文化は「何を食物と見なすか」という食事の規律によって作られている。
 例えば日本では美味しく頂いてる牛や豚を食べない文化圏があるし、日本で一般的ではない犬や猫を食べる文化圏も存在する。
 食肉という観点では大差ないのだが、食事の規律が違うだけで抵抗感が跳ね上がるのは体験からも明らかだ。



 その点『モウ』に囚われ安定した食事が難しい上に、捕食される側にいる『シックス』に食事の規律が育たないのも不思議はない。肉食の傾向が見られる彼女が徐々に原始的な捕食へと向かうのは当然なのだ。


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 私たちだって可愛いと美味しいは両立する。空腹に曝されなければ彼女は『ノーム』を手に掛ける事は無かったかもしれない




背景にいる暴食の悪魔

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 考察の一つに『シックス』が7つの大罪の六つ目『暴食』であると言う説がある。つまり『暴食』を司る蠅の王「ベルゼブブ」だと言うのだ。
 確かに最後のシーンでは蠅の様な羽虫が周囲を飛んでおり彼女が「ベルゼブブ」と化した言われると納得できる。素晴らしい説である。

 さてテーマが暴食の悪魔であると考えたとき『モウ』の元ネタに心当たりが浮かんだ。暴飲暴食を司り、ひいては貪欲を象徴とする悪魔にされた神獣「べへモス」だ。

 旧約聖書『ヨブ記』によれば、大河の氾濫も意に介さぬ巨大な草食の獣であり、青銅と鋼鉄の骨格に、杉の枝のようにしなやかな尾を持つと云われる。
 無限の食欲のもと、あらゆるものを飲み込み、その胃袋には底が無い。日に千の山に生える草を食べ、大河の水が口の中に流れ込んでも平然としていたという。

引用:http://kowabana.jp/demons/9


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引用:http://ln.bn-ent.net/

 公式サイトの『モウ』説明は生物とも取れる表現だ。『モウ』は暴飲暴食を繰り返すゲスト達を迎え入れる貪欲の悪魔「べへモス」を模していると考えてみた。
 だからこそ土の精霊の名を持つ『ノーム』が大地の神獣だった「べへモス」を模した『モウ』に住んでいるのではないか。


 それでは『レディ』はどうだろう。『シックス』が「ベルゼブブ」ならば、『レディ』は前身となるキリスト教によって悪魔とされた神「バアル・ゼブル」ではなかろうか。


「気高き主」や「高き館の主」とも呼ばれる豊穣と多産の神であるバアル。この神々の名の元に行われた儀式は淫靡でかつ小児犠牲的な悪魔の所業と評された。

この地では素朴な呪術である性的な祭儀がバアルの名のもとに行われていた。乱交を含む性魔術により、バアル/バアラテ神の聖婚、神々の交合を模倣し、その絶大なる生命力を大地に移植するのである。
 フェニキアの人身御供も、人間の生命力を犠牲に捧げることで都市の呪的繁栄を祈るもので、この神の暗黒面を示している。
 しかし、多くの人身供犠の祭祀がそうであるように、フェニキア人、後にはカルタゴ人の親は、バール神、モロク神の元に喜々としてわが子を捧げた。子供の生命は大いなる大自然のサイクルに呑みこまれ、再び春には再生してくるからである。

引用:
https://blogs.yahoo.co.jp/judaist55/647681.html



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 もし『レディ』が「バアル」を模しているとするならば、『モウ』の下層深くで眠る子供達は生命力を捧げるために集められた子供達と考えられる。
 そして小人たちは犠牲となった子供達が再生した姿かもしれない。




実はホラー体験の御馳走

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 本作は様々な様々なホラー映画の美味しい所をつまみ食いする様なホラー体験の御馳走だった。その点では変化に乏しいアクションやパズルが続いても飽きさせないゲームに仕上がっており楽しめた。

 そこで私が本作に感じたホラー映画の要素を紹介しよう。ジャンルに関しては曖昧さを含むので細かい突っ込みは勘弁してください。

 それではリトルナイトメアが取り入れた思われる悪夢の欠片をどうぞ。




監獄

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 前が見えない程の暗闇を僅かな明かりを頼りに歩く恐怖。足場の悪い所を走り跳び移ったり、突如の落下からの蛭に囲まれる恐怖。正に王道のスリラーを体験できる第一章。


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 暗闇と閉所といったら『ディセント』シリーズだ。暗くて危ない地底洞窟をさ迷う恐怖を思い出した。
 落下死や感電死といった事故死がやたら多いのが特徴のステージ。気になったのは落下死を狙ってるのか、ちょっとイライラするカメラワークだった点。


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隠れ家

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 子供を梱包する前半はサイコホラー、しつこく追い回す後半はモンスタースリラーと言った感じのステージ。

 前半の盲目の相手から隠れ逃げると言うと『ドント・ブリーズ』だけどちょっと違う印象。執着や偏愛を感じさせるし、ステージ全体で見るとしっくりこないのだ。
 その違和感の原因となる後半でパッと脳裏に浮かんだのが、豪華客船で巨大なミミズに教われる『ザ・グリード』である。


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 突如として姿を見せる長い両腕が触手を思わせ、盲目と言う習性を利用するプレイ全体としてはモンスター系ホラーの流れを感じる。最後に腕を切断し退治という形を取るので尚更だ。


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台所

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 双子のシェフは仮面を被っている。これは実在した猟奇殺人犯であるエド・ゲインが元ネタのレザーフェイスをイメージしてるに違いない。
 今回は『悪魔のいけにえ』のリメイクとなる『テキサス・チェーンソー』の名を挙げよう。


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 個人的に上手いなあって思ったのは肉の塊を切断するシーン。暴力的でかつ、運ばれた子供たちの行く末をきっちり感じさせながらも激しいグロさはない。
 スプラッタらしく『シックス』の死亡シーンが多彩なのも嬉しい。失敗を楽しめるステージなのに割と簡単なのは勿体ない気がする。


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ゲストエリア

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 生気の無い目。摺り足で動く姿。貪り食う圧倒的な食欲。頭が悪く鈍い動き。
 ところが肉に夢中と油断すると勢いよく襲ってくる姿は正にゾンビの表現だ。


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 突如として集団で襲い掛かってくる辺りで『ドーン・オブ・ザ・デッド』の群れで襲い掛かってくるシーンを思い出した。
 走るゾンビも嫌いじゃないけど元気すぎるのは食傷気味。適度に鈍い方が私は好きである。
 決して届かぬ皿の上に乗った『シックス』に手を伸ばすなど、ゾンビ映画のお約束シーン満載で楽しいステージだった。




レディの部屋

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 白く無表情な仮面を付けた女幽霊と言った出で立ちの『レディ』の部屋に入ると、突如として空気が変わり超常的な雰囲気へ。

 気が付けば『呪怨』や『リング』といった和風ホラーへ早変わり。白塗りの顔はジャパニーズホラーの代名詞だろう。鏡や光が苦手といった分かりやすい弱点なのも好印象。

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 自身の顔を見るのが嫌なのか部屋中の鏡を割っておきながら手鏡は大事に飾っちゃうのもお約束。 

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 数々の悪夢を越え遂に『モウ』を脱出した『シックス』が見たのは一面に広がる空と海。彼女の運命は皆様の想像にお任します!となるのもホラーのお約束。



終わりに

 ゲーム『LITTLE NIGHTMARES-リトルナイトメア-』のテーマとして、「子供の飢餓」そして「悪魔」さらには「ホラー要素」と私なりに様々な面から考察してみた。

 童話的で独特な魅力を本作は、普段ホラー映画を見ない人にこそ遊んで欲しいゲーム。過剰なドッキリやグロさ無しにホラーの美味しいところだけ楽しめる贅沢な一品だ。

 一人でも多くの方が『シックス』と共にホラーの魅力を体験して欲しいと思える作品だった。


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