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PS4Pro用の4K/HDR液晶テレビ・ディスプレイの選び方

PS4Pro向け4K/HDRのオススメも紹介

 私はPS4Pro用に4K/HDRを導入する際に相当迷いました。安くない買い物ですし、失敗しても簡単に買い換えられる品物じゃないです。

 迷いの理由は4Kと違い製品比較が複雑なHDRでした。 

 黎明期なので仕方ないのでしょうが、製品を比較する度に新しい用語が出てくる始末で消費者は大変です。

 そこで4K/HDR液晶テレビ・ディスプレイの購入に当たり、知っておく方が良い知識と私が人気製品で注目するポイントを記そうと思います。

 用語の解説などで長くなりましたが、色々と調べなくて済む様に列挙しています。知っている人は目次から製品項目へ跳んで下さい。


HDRとは何か

 HDRとは肉眼で感じるような明暗を表現する技術。ざっくり言うと白の上に眩しいが追加されるイメージです。


 SDRと呼ばれる従来の方法では明るさの階層が狭く、特に白と光の違いが曖昧でした。

 だから明るい所が全体的に白っぽくなったり、黒と暗さの違いが出せず全部真っ黒で表現されてきました。

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出典:よくわかる、HDR徹底解説! HDRとは | EIZO株式会社

 HDRでは明暗の階層が増え日の出や夕焼けの様な風景で、より自然な映像となります。

 個人的にゲームでは金属光沢の輝きや炎の揺らめきのリアリティで大きな違いを感じます。


 

HDR10

 メーカーの独自規格が多かったHDR。その中で主流となった規格がUltraHD Blu-rayに用いられている『HDR10』です。

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出典:よくわかる、HDR徹底解説! HDRとは | EIZO株式会社

 『HDR10』の10は色深度10bit(1024段階)の意味です。『HDR10』ではSDRの色深度8bit(256段階)と比較して滑らかな表示が可能です。


Dolby Vision

 次にUltraHD Blu-rayや大手動画配信サービスのNetflixが採用している『Dolby Vision』です。
 『Dolby Vision』は色深度12bit(4096段階)であり『HDR10』より更に細かい表現が可能になります。
 それに加えてシーン毎の輝度調整も可能でHDR体験の向上が見込めます。
 

HDR10+

 『HDR10+』は『HDR10』を拡張し『HDR10』に『Dolby Vision』の様な輝度調整を加えた規格です。
 実はHDR対応製品の多くがHDRコンテンツを楽しむ上で十分な性能を有していません。この理由については次のバックライトの項目で詳しく説明しています。

 そこで製品の性能に合わせて調節しようと考えだされたのが『HDR10+』です。『HDR10+』はFoxやAmazonプライムビデオが採用を表明しており、対応製品の発売が待たれています。


今買うならHDR10対応

 『Dolby Vision』や『HDR10+』は制作者の意図した映像を表示する為の規格で、可能なら対応した製品を買いたいところ。

 と言っても現在は『HDR10』に対応していれば十分です。PS4Proも『Dolby Vision』対応の可能性は否定していませんが未定です。本命となる『HDR10+』もまだ対応製品は登場していません。

 そのうち発表されるであろう『HDR10+』やHDMI2.1に対応した製品の登場まで待つのも良いでしょう。 



HDRはバックライトで決まる

 液晶ディスプレイはバックライトで照らしています。白の上に眩しいを用意しているHDRではバックライトの性能が重要になのです。

ピーク輝度

 肉眼で見る明暗を表現しようとしているHDR。人の目が20,000nitの明るさまで感知できると言うことで、HDRでは10,000nitまで明るさが規定されています。

 しかし既存の規格SDRで表現出来る範囲が0.05nit~100nitだったこともあり、対応できるディスプレイが少なく、一般的にHDRコンテンツは0.005nit~1,000nitを目安に製作されます。


 そこで高級モデルはピーク輝度1,000nit、普及モデルではピーク輝度500nitとしている製品が多いです。


 ちなみに表記が混在していて混乱しますが、標準輝度はパネル全体を白にして測定した値で、ピーク輝度は画面の一部を測定した値です。
 またnit(ニト)とcd/m2(カンデラ)は単位の違いだけで同じ値となります。


 液晶パネルとの相性もあり必ずしもピーク輝度だけで論じることは出来ませんが、ピーク輝度はHDRの根幹となる重要な項目です。


 HDRを推しながらピーク輝度に言及しないディスプレイが多いのは不親切だと感じます。



直下型LEDとエリア駆動

 液晶HDRでは直下型LEDを用いたエリア駆動の搭載が一つの指標となります。

 液晶パネルをバックライトで発光させている液晶ディスプレイ。そのバックライトに使われているLEDの配置が製品によって違うのです。

 液晶パネルには液晶の上下や左右にLEDに配置したエッジ型、ディスプレイ全面にLEDを配列した直下型があります。エッジ型LEDと比べ直下型LEDは光量に優れHDRに向いています。

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出典:テレビ|REGZA:東芝

 またシーンに合わせてLED発光箇所を細かく調節する機能をエリア駆動と呼びます。エリア駆動なら暗い映像の裏にあるLEDを消し、HDRに求められる黒の表現力が向上します。
 

 直下型やエリア駆動は大画面製品との相性が良く、テレビに採用されるケースが多いです。私がテレビを奨める最大の理由となります。



お財布に合わせて

 直下型で1,000nitを達成している製品はHDR環境として数年は安泰でしょう。その分だけ値が張り価格も15万円を越えます。

 なんちゃってHDRと評されたりしますが、500nitでもHDRデビューの人からすれば十分眩しく、一定のHDR効果があることは保証します。



液晶パネルの種類

 液晶パネルにはTN・VA・IPSの三種類に分けられます。価格と映像表現に違いがあるので、特徴は押さえておきたいです。


TNパネル

 最も安価で応答速度にも優れています。難点は視野角が狭く上下左右から見ると発色や輝度が変わり、HDRや多人数での使用には向かないことです。

 個人使用が基本のゲーミングモニターに多くみられ低価格で選択肢が多いパネルです。


VAパネル

 黒の表現に最も優れて高いコントラスト比を実現できます。欠点はTNパネルと同じ視野角が狭く角度によって発色や輝度が変わることです。

 黒に強いVAパネルはHDRの売りである高コントラスト比を出せるのが魅力です。


IPSパネル

 発色と階調表現に優れ視野角が広く角度による変化に強いです。高品質な発色特性が評価されています。

 欠点は応答速度とコントラスト比です。ゲーム目的で応答速度を重視する場合はTNパネルに劣り、HDRコンテンツで高コントラスト比を求める場合はVNパネルに劣ります。


グレア・アンチグレア

 外光の影響を補正する液晶の表面加工によっても映像に違いが出ます。

 グレア(光沢)はコントラストを高めますが映り込みが目立ちます。アンチグレア(非光沢)は映り込みが軽減されますが映像補正の効果はありません。

 他に中間のハーフグレアもあります。ゲーマーには映り込みが少ないアンチグレアが人気です。


ニーズに合わせて選ぶ項目

 パネルに関しては一長一短です。使用目的で重要視される項目が異なりますし、なにより映像の好みに左右されます。

 対戦ゲームやアクションゲームの快適さはTNパネル。比較的暗所が多いホラーゲーム向きなのがVAパネル。明るめで鮮やかなシーンが多いRPGならIPSパネル。

 これはあくまで目安であり、使用されているパネルの品質にかなり影響されなす。


その他

DisplayHDR

 米VESA(ビデオエレクトロニクス規格協会)が決めたHDRの品質基準。HDRの品質の違いを分かりやすく表示しようと定められました。

 最も優れた『DisplayHDR 1000』普及製品の目安となる『DisplayHDR 600』入門用の『DisplayHDR 400』の3区分となります。

 細かい規定もありますが、概ねピーク輝度で区分けされていると考えて問題ないです。


 

FreeSync

 簡単にいうと滑らかな映像にする機能なんですが、残念ながらPS4Proは対応していません。Xbox One XやゲーミングPCを持っている人向けの機能になります。

 最近のディスプレイは殆ど付いている機能なので余り決め手にならないでしょう。

 『FreeSync』はHDRに対応してないのですが、昨今のHDR人気を受けて『FreeSync2』というHDRに対応した規格が発表されています。



4K/HDR液晶テレビ

 いち早くゲームでの使用を考慮した機能を搭載したのが東芝のREGZAでした。最近はソニーもゲームモードに力を入れていますが、信頼と実績を鑑みて私はREGZAを推します。


Z810X

 ハイコントラストVAパネルで直下型LED。もちろんエリア駆動でピーク輝度も1,000nit。欲しい機能がすべて揃っておりHDR環境に関しては文句なしです。

 注目はAI機械学習HDR復元です。UltraHD Blu-ray作品を使い、HDRとSDRにおける表現の違いを解析しデータベース化しているそうです。UltraHD Blu-rayで映画を楽しみたい人に嬉しい機能ですね。

 

Z710X

 視野角と発色に優れたIPSパネル。IPSパネルの欠点であるコントラストの低さは直下型LEDのエリア駆動でカバー。ピーク輝度も800nitと高めです。

 テレビは貧弱なスピーカーが多くサウンドバーが人気なのを受け、バズーカオーディオ搭載でスピーカーにも力を入れています。

 Z810Xに比べると中途半端さは否めないが、明暗両面で一定の表現力を保ちスピーカーにも力を入れ実利を重視している印象。


Z700X

 IPSパネルで直下型・エリア駆動搭載。ピーク輝度は500nitとZ710Xと比べ少し低いです。

 型落ちですが、Z710Xでタイムシフト機能やAmazonプライムビデオのアプリが削除された関係で、依然として人気があります。


M510X

 VAパネルでエッジ型。ピーク輝度はM500Xと同じで500nit程度の様です。エントリーモデルでHDR効果もそこそこ。ハイエンドモデルにない40型があり手頃な製品。




4K/HDRディスプレイ

 環境の問題で机上に設置して使う。またはPCと併用するなら32型以下になるでしょう。
 最近は32型以下のHDR対応製品が増え選択肢も広がりました。

436M6VBPAB/11

 43型のDisplayHDR 1000対応ディスプレイです。UP2718Qの様なハイエンドモデルと比べ安価なのが売り。

 グレアのVAパネル(反射防止パネルとありますがグレアの模様。これは不親切)。LEDは直下型で32分割のエリア駆動搭載。

 標準輝度720nitのピーク輝度1000nit。コントラスト比は4000:1。

 DisplayHDR 1000対応なので当然ですがHDR面はかなり良いです。

 スピーカーも7W×2とディスプレイにしては優秀。ここ最近じゃ珍しくFreeSyncに非対応なのは辛い所ですが、PS4で使うなら問題ないです。

 DisplayHDR 400の436M6VBRAB/11もありますが、こちらだとBenQのEW3270Uで良い気がします。


32UD99-W

 32型のIPSパネルで『HDR10』に対応。ピーク輝度550nitとスッキリとした全面フレームレスが売り。 

 高さ調節が可能でピボット(画面回転)もあるスタンド、多彩な接続端子、5W×2の優秀なスピーカーと付随する機能が豊富。
 
 IPSパネルがVAパネルと比べコントラストに劣る点をピーク輝度と彩度でカバーしている印象。エッジ型LEDなのは残念。

 とはいえPCディスプレイで直下型・エリア駆動をしている製品は、映像のプロ向けとなるUP2718Qの様なハイエンドモデルのみ。悩ましい所です。


27UK850-W

 32UD99-Wのサイズダウン版。かと思いきや3辺ボーダーレスでフレーム下辺が厚くなり、HDRに重要なピーク輝度が450nit付近に下がっている模様。その影響かコントラスト比も少し低く出ています。
 
 価格的にライバルはEW3270Uでしょう。IPSパネルとVAパネルの違いの他、高さが変えられるスタンド、USB×2の追加、5W×2のスピーカーと付随する機能で差別化は出来ています。



27UK650-W

 更にお手頃になった製品。27UK850-WからUSB Typ-CとUSB×2そしてスピーカーを無くした品となります。5W×2のスピーカーが無くなるのはちょっと残念。


27UK600-W

 27UK650-Wのスタンドからピボット(画面回転)が無くなった。スピーカーを用意する手間はありますが、PS4Pro繋ぐだけならこれでも良いかも知れません。



EW3270U

 32型のVAパネルで『HDR10』に対応。標準輝度は300nit。黒に強いVAパネル採用でコントラスト比に優れる。 

 32型はVAパネルの視野角のギリギリ範囲内で大きな問題は無いでしょう。VAパネルの高いコントラストは映像の見栄えに直結します。

 調べた限りピーク輝度の情報は確認できませんでした。恐らく400nit辺りと考えられます。高さ調節が出来ないスタンドも少し残念。
 
 USB Typ-Cの採用。DisplayPort1.2から1.4へ。加えてアイケア技術『B.I.+』の搭載もあり、スペックはET322QKwmiipxの上位互換となります。

 
 

ET322QKwmiipx

 32型のVAパネルで『HDR10』に対応。標準輝度300nit。BenQの独自機能やら少ない接続端子、ちょっと個性的なスタンドといいEW3270Uの下位互換。

 もう少し価格差が付けば候補に入りそう。海外に比べ日本だとEW3270Uが少し安いので辛い立場。
 

EL2870U

 28型で珍しいTNパネルの4K/HDRディスプレイ。標準輝度は300nit。ゲーマー向けに特化しておりGTG 1msの優れた応答速度を誇ります。


 動きのあるゲームに強いが映像を損ねる傾向があるTNパネルはHDRとの相性は良くないです。

 さらに対戦FPSとHDRの相性が悪くBF1は眩しくてプレイしにくかったです。
 
 個人的にはHDR抜きの4Kゲーミングモニターで良いと思います。どうしてもオマケでHDRを付けたい人向けでしょうか。


4K/HDRはテレビが優秀

 4KやHDRは大画面テレビに更なる価値を付加する目的で登場した技術と言えます。

 最近の製品はベゼルも狭くなりイメージより小さく見えます。実際に4Kディスプレイを使うと4Kは40型からという説にも説得力を感じました。 
 
 まだHDRで一定のスペックを達成している製品はテレビに多いです。市場の大きさに支えられ性能と価格のバランスに優れています。


 あなたが現時点で4K/HDRの導入を考えている場合、テレビならバランスに優れたZ710X、PCディスプレイなら最新の436M6VBPAB/11かEW3270Uを基準に、欲しい機能・要らない機能を考慮するのが良いと考えます。