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[感想・評価]VR対応の『Megaton Rainfall』で世界を飛び回れ

宇宙人の侵略から地球を守れ

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 『Megaton Rainfall』(メガトン レインフォース)では侵略者から人類と地球を守るため誕生したスーパーヒーローの戦いが描かれる。プレイヤーは使命を果たすため多様な超能力を駆使して侵略者を撃退する。

 PSVRに対応ゲームで北米PSストアで購入。北米版にも日本語字幕あり。


要旨

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 SF映画の様なスケールの広さと破壊表現が特徴の意欲作。多彩な能力を使うタイミングが重要なアクションゲームに近く、手応えのある難易度に仕上がっている。
 壮大さとバカゲーさのバランスに優れプレイヤーの期待に応えてくれる良作。
 


以後、一部ネタバレ含む感想です。

SF映画さながらの迫力

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 プレイヤーは創造主から人類を救う使命を与えられた存在として『Megaton Rainfall』の世界に生まれる。

 どうやら創造主も預かり知らぬ何者かが作った『ゼノキューブ』を侵略者に奪われ利用されているらしい。創造主は侵略者を倒し『ゼノキューブ』を取り戻せという。
 
 ストーリーは創造神話をベースとした仰々しい語りであるが、その中身は侵略者を追っ払い人類を守れと単純明快。

 映画『インデペンデンス・デイ』を彷彿とさせる宇宙船や『宇宙戦争』に出てくるタコ型兵器。『バトルシップ』に出てくるタイヤ型兵器を彷彿させる敵などが続々と登場。

 宇宙人の侵略がテーマの映画が好きな人には堪らないシーンが見られる。だが都市を破壊する様を人類そっちのけで悠長に眺めてはいられない。


ヒーローは辛いよ

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 無敵のプレイヤーには体力ゲージが存在せず代わりに左下に緑の人口ゲージがある。侵略者の破壊活動やプレイヤーの攻撃で犠牲者が出ると失敗となるシステムだ。


 街を壊さないように注意しながら戦っていると、映画『ハンコック』で力を存分に使えないハンコックの不満が分かる。こんな形でヒーローの苦悩を味わうとは思わなかった。


 無敵のヒーローであるプレイヤーの弱点は弱き人類なのだ。人類の犠牲を避ける戦い方が強いられることで、能力を駆使した工夫が必要となり緊張感と戦略性が与えられている。


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街中を人類が出歩いている。彼らの命を守るのだ。

 
 都市への誤射が許されない本作は難易度高めの作品だ。特殊能力のクールダウンと合わさり場面ごとに適切な判断が求められる。

 
 


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迫力のある破壊シーンを見たくて敢えて失敗してしまうことも。難しくても失敗を楽しめるゲームは遊びやすい。


 

VRと4K異なる二つの魅力

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 本作を語る上で外せないのがPSVRと4K(PS4Pro)いう2つの映像表現への対応だ。

PSVRでのプレイ

 『Mgaton Rainfall』は様々な意味でスケールが大きいゲームでありVRとの相性は抜群だ。

 大気圏を突入し都市へ降下するスピード感、建ち並ぶビルや侵略者の兵器が放つ迫力、眼前で起きるリアルな破壊表現、どれも素晴らしい体験となっている。

 『Mgaton Rainfall』は速い、デカイ、近い、壊わす、と直感的に楽しめる体験に満ちている。


 その操作感覚は『Rez』の『Area X』を主観に変え自由度を高めたものに近い。VRでは視点が射撃位置となりディスプレイと比較してプレイし易かった。


 また細やかな設定変更が可能であり、酔い対策の重視から迫力重視まで好みに合わせて環境でプレイできる。

 ちなみに迫力重視の設定にして調子に乗って建物の間を激しく動き回ったら、VR酔いには強い自分でも流石に多少くらっときた。

 

4Kでのプレイ

 PS4Proなら4K用のテクスチャのお陰で、くっきり美麗な映像で『Mgaton Rainfall』の世界を楽しめる。

 もちろん迫力はPSVRに劣るが、星空や宇宙から眺める地球はディスプレイで見る方が圧倒的に美しい。

 下に載せたスクリーンショットの画質はフルHDなので、4Kモニターを持っていない人でも十分美しく見えることが分かるだろう。


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東京タワーの再現度は中々。


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惑星に関しては鑑賞ゲームとしても優秀である。


 VRと4Kの魅力は甲乙付けがたく2度目のプレイが楽しめること請け合いだ。

 個人的にはVR版を先にプレイしてから、通常プレイで鑑賞・撮影を楽しむ流れが良いと感じた。


  

一点豪華主義の勝利

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 インディーズである本作の映像は細かな所で粗がある。都市以外は荒野な上に肝心の都市も花畑から車が沸いてきたり、都市の中身も使い回しばかり。

 海に潜れば海草かと思えば地上と同じ花畑だったり、火口は平らなテクスチャだけに手抜きと枚挙にいとまがない。


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好奇心から火口に撃ち込んだらこれである


 しかし宇宙を含める壮大さに圧倒され、ミクロな箇所は普通にプレイする分には気になりにくい。


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特にペナルティは無くてもランドマークは守りたくなる。


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プレイ中に戦闘そっちのけで観察してしまう。


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宇宙で見る地球の美しさは格別

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土星の輪にきちんと小惑星を配置するのが憎い


 『Megaton Rainfall』の魅力はテーマ、演出、VR、4Kと適切な箇所へ力の注ぐ一点豪華主義が支えている。製作に5年を掛けた情熱の成果を是非体験して欲しい。