対テロを掲げ世界の特殊部隊が集結
- 出版社/メーカー: ユービーアイ ソフト
- 発売日: 2015/12/10
- メディア: Video Game
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総論
競技性の優れた傑作。シージは他のFPSと毛色の違うタクティカルシューターと呼ばれる戦略重視のFPSだ。
屋内に特化したCoDのサーチ&デストロイ(S&D)の様なルールとBF並の豊富な破壊表現が楽しめる。
マルチプレイ専用ゲームなので高価な印象はあるが、無料配信されるDLCを考えると妥当な所だろう。銃のカスタム性が低いのは少し残念。
マルチプレイに特化
この新たなレインボーシックスは従来のシリーズと違ってオフラインやシングルプレイで遊べるゲームから姿を変えた。
一応テロリストとレインボー部隊との関係を織り混ぜたチュートリアルは存在するが、とてもキャンペーンと言える代物じゃない。シージは純粋にマルチ対戦と協力プレイを楽しむマルチプレイ専用タイトルだ。
協力プレイであるテロハントモードも基本はマルチ対戦と同じなので、本レビューではマルチ対戦を中心に記そうと思う。
リアルな特殊部隊の戦闘体験
オペレーターと呼ばれるレインボー部隊の隊員は専門性に特化した精鋭達だ。
攻撃側と防衛側で使える隊員は異なり、ハンマーや炸薬で敵の防壁を突破する者からトラップや機関銃で足止めする者まで様々。
彼等が使う武器やガジェットにも相性がありマップに合わせた隊員の組み合わせが重要で、カジェット同士の組合せを考えるのはパズルの様な楽しみを与えてくれる。
余りに格好いい隊員達を見ているとマルチプレイ専用タイトルなのが残念になる。隊員の設定もあるので彼等の個性を生かした対テロリストの戦いを描くキャンペーンもプレイしたかった。
情報戦が明暗を分ける
本作は攻撃側と防衛側で使える隊員も異なる非対称型のゲームで試合前に情報戦が繰り広げられるが特徴だ。
準備時間に攻撃側はドローンを用いた偵察を、防衛側は壁の補強やトラップの設置をしながら情報漏えいを防ぐ事になる。このドローン操作や壁の強化が別ゲーの様で地味に楽しい。
試合が始まっても情報戦は続く。攻め側はドローンやガジェットを使い敵の布陣を探りながら進み、防衛側は監視カメラや音によって攻撃側の進行ルートを予想する。
CoDのUAVやBFのスポットの様に勝敗を左右するのは情報だ。シージでも情報を制したチームが勝利を手に出来る。
ゲームの要となる壁
準備時間が終われば試合開始だ。索敵しながら進行する攻撃側とそれを迎え撃つ防衛側の探り合いが始まる。試合の駆け引きの中心となるのが壁と床(天井)である。
シージでは壁や床(天井)が銃弾等で破壊可能であり、小さな覗き穴を開けて様子を伺ったり、派手に壊し新たな侵入路にすることも出来る。他にもロープラペリングで壁を登れるので上階の窓から突入も可能だ。
相手がこもっている部屋の壁に炸薬をセット。
起爆すると新たな侵入経路が作れる。
もちろん破壊を防ぐ方法も用意されており、防衛側は如何に安全な場所を作れるかが重要になる。
マンネリ気味のFPSを打開するためにブーストやジャンプに注目した作品が多い中で、シージが目指した建物を利用する戦いは新鮮で面白い。
緊張を創り出すシステム
シージでは倒されるとリスポーン(復活)出来ない。さらにミニマップと体力回復を排除し、フレンドリーファイア(同士討ち)と威力に高いヘッドショットを採用している。
これらが1発の銃弾の重さを高め緊張感のあるプレイを与えてくれた。少しのダメージでも不利になるし受けた弾がヘッドショットなら1発で倒されることもある。もちろん、それは味方に対する誤射も同様である。
シージの索敵と戦闘には静寂と緊張が満ちている。その中で行う駆け引き、そして敵を倒した時に得られる興奮は癖になる。
欠点を吹き飛ばす面白さ
シージには折角の実銃なのに銃のカスタム性が低い点や少し不安定なサーバー。オブシェクトに引っ掛かる不具合等の不満点は確かにある。
それでも競技性を重視しただけあって完成度が高く圧倒的に面白い。
また連繋重視なのでフレンドとのプレイが強く推奨される作品ではあるが、想像していたより野良プレイでも楽しめるゲームではあった。
マッチングは簡易チームの作成という形となり、誰かが抜けない限り同じメンバーで戦い続けることになる。そのため試合をしていると次第にメンバー同士で無言の連携が取れるようになってくる。
即席チームで連携できた時の達成感や共闘感は他のFPSの比ではない。
シューター界も豊作だった2015年。その中でもレインボーシックス シージは随一の面白さである。