インクを床や壁に塗りたくる愛らしいイカ(?)達の陣取りゲームで話題のSplatoon(スプラトゥーン)が遂に発売となった。FPSやTPSを楽しんでる自分も興味津々の作品である。いや、「欲しい」と思ったと言うのが素直な感想である。
- 出版社/メーカー: 任天堂
- 発売日: 2015/05/28
- メディア: Video Game
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事前に体験出来る機会も多く、遊んだプレイヤーからの評判は上々であった。それ以上に注目すべきなのは未プレイの人達を一気に惹きつけた魅力にある。普段はFPSやTPSと呼ばれる銃を使った撃ち合いゲームをプレイしない人達に、「楽しそう!」「私もプレイしたい!」と思わせる力は何処にあるのか?その魅力を分析してみた。
1.キャラクターが魅力的
これは重要だ。プレイヤーの分身となるキャラクター達の愛らしさ!年齢層や性別を越えて愛されるキャラクターを生み出す力に任天堂は特に優れている。このイカなのかヒトなのか良く解らないキャラに何とも言えない魅力があるのだ。
色彩豊かなインクで溢れるゲームの世界観とちょっとファンキーなキャラクターが実にマッチしている。水鉄砲(インク鉄砲?)を筆頭とした「どう塗るか」が分かりやすい「ブキ」のデザインも良い。
2.直感を刺激する色と音
他のTFPSやTPSゲームでは撃って敵を倒す・物を壊すと言った形で表現している物作品が多い。そんな中でSplatoon(スプラトゥーン)は「塗る」と言う形に置き換えた。
コンクリートを思わせる灰色の壁を勢いに任せて鮮やかなインクで塗りつぶす。子供の悪戯の様なこの行為が爽快感をもたらす。強烈な色彩のインクをまき散らすこの行為は実はとても破壊的で、塗り潰される床をみることは心に溜まったストレスの発散に大きく貢献するだろう。
その快感を支えるのが楽器を鳴らすようにプレイヤーに爽快感を与える「塗る音」である。この丁寧さとは掛け離れたビチャビチャと鳴るインクの音が塗る快感を更に高めている。
幼児から持つ「音を立てる」「色で塗りつぶす」そんな原始的な欲求をSplatoon(スプラトゥーン)は刺激してくるのだ。
3.分かりやすく濃密な3分間
多くのFPSやTPSの試合は見ていて面白くない。はっきり言うと視聴者にとって無意味な時間が多すぎるためだ。ゲームとしては重要な行動だとしても、その価値は分かりにくく評価しにくいのである。敵の進行を防ぐために待ち受けたり、有利な位置に向かうために移動したりと「見ていて楽しくないシーン」が圧倒的に多いのだ。
その点では塗り方だけを見ていればいいSplatoon(スプラトゥーン)は視聴者が行動の価値を理解しやすい。さらに敵プレイヤーに遭遇しない暇な時間はSplatoon(スプラトゥーン)には存在しない。敵プレイヤーを倒す以上に床を塗らなければならないからだ。その作業量が3分と言う短い時間をとても濃密なものにしている。
多くのゲームはプレイしている人を楽しませる為に作られている。そんな中Splatoon(スプラトゥーン)はプレイを見ている人も楽しませることを強く意識していると私は感じる。そう、任天堂は画面の前に「家族」がいる前提でゲームをデザインしているのだ。
今、鑑賞するゲームが求められている
最近はeスポーツと呼ばれる対戦ゲームを使ったショービジネスが活発になってきている。特にアメリカではeスポーツに力を入れており、多額の賞金を懸けてプロゲーマー達が対戦する様子を鑑賞することが人気を集めている。
エレクトロニック・スポーツ(英: Electronic sports)は、複数のプレイヤーで対戦されるコンピュータゲーム(ビデオゲーム)をスポーツ・競技として捉える際の名称[1]。e-Sports(eスポーツ)と省略した形で使われることのほうが多い[2]。高額な賞金のかけられた世界的な規模の大会などアマチュアから年収1億円を超えるプロ・ゲーマーも存在するプロチームやプロリーグも多数あり、世界のeスポーツ競技人口は5500万人以上となっている[3][4]。特に『League of Legends』や『スタークラフト2』はプロフェッショナルスポーツとも認定された(プロアスリートビザを発行した)。
しかし、残念ながらeスポーツ鑑賞を楽しめるのは、対象となるゲームに通じる一部の人達だけである。多くの人が鑑賞を楽しめるゲームではなかったのだ。そこに登場したのが任天堂の逆転の一手になりえるSplatoon(スプラトゥーン)である。楽しそうに見えるのは当然だろう。他のゲームと異なりプレイするだけでなく鑑賞しても楽しい作品を任天堂は目指したのだ。
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