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PS4ソフトでゲームのHDRの違いを比較してみた

PS4ProでゲームソフトのHDR効果を比較

 折角のPS4Proなので4K/HDRを導入しようと『32UD99-W』を購入しました。機能からデザインまで大変満足しております。

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 どんな効果があるか分かりにくいHDR。そこで参考になるよう幾つかの作品でHDR効果を確認し、その特徴や必要性について感想を書きました。

作品ごとにHDR効果を比較

 比較方法は設定を開いてHDR効果を切り替えてスマホで撮影するだけの素人比較。多少のズレはご了承ください。

 『32UD99-W』はHDR10のピーク輝度550nitでコントラスト比1300:1とHDR600にやや劣る感じです。
 また写真はGalaxy S6のカメラでディスプレイを撮影した物を縮小しています。 


『アンチャーテッド 古代神の秘宝』

 全体的に色鮮やかになりオブジェクトの質感が良くなった印象です。切り替えで差を感じにくい場面も多く効果は限定的か。 
 微妙な評価になったのは初期のHDR対応作品となるためか、HDR設定が無いのが原因とも考えられます。



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広色域の恩恵は分かりやすいです。


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陰影の強調で岩や苔の質感に違いを感じました。

 

『Horizon Zero Dawn』

 時間変化があるので同じ場所で比較。この作品は全体的に赤が強く出る印象。夜間より青空や夕焼けに差を感じられました。
 こちらもHDR設定が出来ないのが残念。この時期はメーカーも模索中で試行錯誤していた様です。


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青空が鮮やかになり白が際立ちます。


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黄昏のグラデーションはかなり美しかったです。
 

『Battlefield 1』

 初期の作品においては、良くも悪くもHDR効果を感じました。モニターに合わせHDRの輝度を変更できたが要因でしょうか。ディスプレイに合わせてHDR設定を500にしています。

 マルチプレイにおいてもHDRで臨場感は高まります。ただ眩しい・暗いといった視覚効果も高まるので、対戦環境としてはオススメ出来ないです。


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陰影の変化がくっきりし立体感が増した。


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静止画だと色の変化の方が分かりやすい。

ゴッド・オブ・ウォー

 HDRの良さを強く感じた作品でした。よくHDRの魅力は眩しさと表現されますが、ゲームにおいては輝きの表現と言い換えられそうです。

 黄金が放つ金属光沢や水面のきらめきのリアリティが増したと感じました。神話の世界ということもあり広色域も映えます。

 HDRで明るさとガンマ値の設定が出来ることに感激しました。設定の重要さを実感。




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水面の輝きや金属光沢で違いを感じました。

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輪郭がくっきりし映像の細かさが際立ちます。


Detroit: Become Human

 HDR設定はあるのだが恩恵を感じにくかったです。もちろんHDRを切るとぼんやりとした印象になりますが、無しでも良いかなと思いました。

 光源に拘った理由でフォトモードの搭載も大変な様です。HDR効果の乏しさも意図的かも知れません。

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彩度の差ですら微妙なシーンも少なくない。


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暗部や光の反射では多少の変化は感じられる。


HDR効果を比較して

 結果として立体感が増した・全然違うと言うポジティブな評価から、差が分かりにくい・ゲームに向かないと言ったネガティブな評価も概ね納得ができました。

 幾つかの作品で体験した上で、HDRに対する感想を列挙します。感覚や環境で個人差がある点は御了承ください。


HDRは眩しいのか

 よくHDRは白の上に眩しいが追加されたと表現されます。ただ眩しくなる意味があるのか疑問に思う人もいると思います。私も購入前はそうでした。

 そしてHDRを体験し、眩しさの恩恵は輝きの表現に現れると感じました。

 眩しいというと太陽の様な強い光源をイメージします。 勿論そういった眩いシーンもありますが、プレイしていて感じるのは金属光沢の艶かしさ、水面が見せる輝き、炎が見せる揺らめき等のリアリティです。

 例えば『ゴッド・オブ・ウォー』で出てくる黄金や鎧の輝き、『モンスターハンター:ワールド』でテオテスカトルが放つ炎です。特に金属は光沢が出て質感の向上を実感します。
 

HDRは暗い?それとも白くなる?

 HDRは従来と比べ明るさと暗さの表現力を高めて、現実世界に近い明暗で表現します。ただゲームでは遊びやすくするため現実より明るく調整していることも珍しくないです。

 だから『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』の洞窟のシーンなどは、HDRだと暗すぎて見にくいと感じる時もありました。

 逆に明るいところで色が薄く白っぽくなることもあります。例えば『モンスターハンター:ワールド』などで顕著に感じる現象です。

 これらは影響の程度は作品ごとで定めらた映像設定によって異なるようです。例えば私は所有していませんが『ファイナルファンタジーXV』は基本輝度を400nitに設定したそうで、ピーク輝度が400nitの製品では広色域くらいしか恩恵がなさそうです。

ゲームの4K化やHDR対応にはまだまだ苦労あり? 最新ハイエンドゲームグラフィックスの先駆者たちによるパネルディスカッション【CEDEC 2017】 - ファミ通.com


 この様にプレイヤー側のHDR環境の違いやゲーム側の設定によって変わるので、ソニーやMicrosoftなどが集まり共同でガイドラインの提案がなされました。今後は一定の品質が保たれる様になると思います。

ソニー、Microsoftらがゲーム向けにHDRガイドライン団体「HGiG」を発足 - PC Watch



広色域と高コントラストの恩恵は安定

 作品に関わらず広色域による変化は安定して違いを感じます。中でも赤と緑の変化は強く感じました。

 また高コントラストによる陰影や輪郭の強調は4Kとの相性がよく、映像の立体間や精細さが増す印象です。

 この辺がHDR対応の作品が増えた理由の一つでしょう。

マルチ対戦には不要

 協力プレイでは楽しさも増しますが、対戦FPSにおいて勝利に拘るならHDRは切るべきと結論に達しました。

 映像作品では素晴らしいHDRですが、こと対戦ゲームでは不必要なリアリティです。BF1のマルチプレイで逆光が眩しくて狙えないシーンもありました。
 

share機能が使いにくい

 HDRでなくSDRに落として記録するので、保存した映像は少なくとも暗くなります。酷いと別物の様な映像になります。

 特に『ゴッド・オブ・ウォー』の録画は、のっぺりとした映像で、かなり厳しい品質でした。現状だと記念にプレイの記録を残したい人にHDRは使いにくいです。



HDRの必要性

 4Kやホームシアターと同じく必須では無いですが、HDRに対応した作品は増え続けており新しい表現として定着しそうです。
 ただ現状では作品によって想定している視聴環境が異なるのか、効果にバラツキがあるのは問題です。ガイドラインが機能することを期待しています。

 実のところHDRはゲームより映像作品の方が上手く使えている印象です。量販店で流しているHDR映像はハイスペックな製品なのもあり、映像の奥行きがはっきり感じられます。

 またHDR対応作品に力を入れている『Netflix(ネットフリックス)』。そこで配信している『ロスト・イン・スペース』でもHDRの恩恵を強く感じました。

 登場するロボットの質感や、火の粉が舞うシーンの立体感に「これがHDRの凄さなのか!」と驚かされました。海外ドラマや映画好きの人ならHDRを導入する価値はあります。

 2019年になり『Display HDR』認証を取った製品も出てきています。またディスプレイのスペックを考慮するHDR10+対応の製品も登場間近です。これからが本番といった所でしょう。


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 また、こちらで技術的なお話や専門用語のまとめなどを書いています。詳しく知りたい人は読んでみてください。