遂に発売となったBattlefield Hardline(バトルフィールド ハードライン)をレビューしようと思う。今回のBFは警察と犯罪者に焦点を当てたシリーズでは異色の作品だ。
総評
キャンペーン・マルチプレイ共に警察vs犯罪者の関係性が前面に押し出されている。特に今回はキャンペーンにも力を入れてありマルチプレイ偏重だったシリーズに新しい風を吹き込んだ。幅広い層のプレイヤーを楽しませられる良作。
話題のマルチプレイは気分を盛り上げるBGMや特殊なリロード等の遊び心がプレイを彩りバカゲーの雰囲気が漂う。しかし、ゲーム性自体はBF4のシステムを洗練させた形でシステム面の完成度は高い。堅実な作りのFPSであるがビギナーサーバーも有るので初心者でも参入しやすい。
キャンペーン
海外ドラマに登場する俳優を起用して「キャンペーンがイマイチなBF」のイメージ脱却を目指している。良質なBGMに支えられプレイすると確かに海外ドラマの空気を感じる。好みの差は有るだろうがドラマ風の「前回のBattlefield Hardline」は、プレイ間隔が開きがちな週末ゲーマーにとって有り難い要素である。
意外にもキャンペーンはスキャンを多用するステルスゲームでありメタルギアソリッドを彷彿させる作りとなっている。プレイヤーの好みで強行突破も良し、逮捕に拘るも良しと、敵を倒して進むことが多い一般的なFPSのキャンペーンと比べるとプレイの自由度は高めだ。どちらかと言うとじっくりプレイしたいシングルプレイ重視の人向きだろう。
映画さながらのCoDシリーズに対抗してこちらはドラマだ!そんな所だろうか。毎度の事ではあるがCoDを意識しすぎていると感じるのと、CoD:AWやThe Orderのイメージが強すぎて登場人物の作り込みがイマイチに感じるのが不満点か。
マルチプレイ
幾つかの武器で能力の変更が見られるが、基本はオープンβと大きな差は無い。細かい感想はβ版の感想を参照して欲しい。
ここでは前作BF4からの変更点を中心に記す。
1)歩兵の強化。
BFHでは全体的に個人で対応出来る場面が増えた。具体的に言うと兵科の役割分担の必要性が下がったのだ。
前作BF4では回復してくれない突撃兵や、弾を配らない援護兵にイライラする事は日常茶飯事だ。しかし、BFHでは直接プレイヤーから回復や弾薬補充が出来るので「居るだけで役立つ」そんな場面が増えた。さらにMAPに弾薬やAED等のガジェットが設置されたので急場を凌げる様になったのも大きい。
またBFHでは乗り物に対しても多くの場面で個人で対応できる。BFHの中心的存在である車には通常の銃器でもダメージが入るので乗り物に完全に無力と言う場面が激減したからだ。さらに兵科を問わずに車両の武器庫からランチャーや軽機関銃が取り出せるのも大きい。BFHで最大の脅威は間違いなく優れた能力を持つ歩兵である。
2)乗り物の弱体化。
BFと言うと戦車などの兵器・乗り物のイメージが強い。今作では、そんな乗り物を活かすにはリスクを伴う様になった。アンロックを進めた高レベルのプレイヤーを揃えなければスペックを最大限に引き出せ無いからである。これは明らかに戦力配分の面では効率が悪く優れた兵士を拘束して運用する割りには旨味が少ない。歩兵の強化と合わさって従来の作品と比較すると乗り物を使って一方的に歩兵を狩る事が難しくなっている為である。
そう。今作では歩兵と乗り物は真逆の変化をしている。歩兵では求められる連繋のレベルが下がり自由度が格段に高まった。対する乗り物では求められる連繋のレベルが高まり不自由さが強まっている。歩兵中心の作品なので当然の調整なのだが、完全に両者のパワーバランスが逆転したのだ。BFHの評価が割れるのはこの部分が大きい。
3)初心者でも勝てる調整。
ゲーム性の中心はコンクエストからハイスト(強盗ゲーム)に移った。ラッシュに似ているハイストは圧倒的に警察(防衛)が有利な非対称のバランス設定である。初期は勢力ごとで使える武器も異なるので、尚更に警察の勝率が高く初心者でも安定して勝利を味わえる。当たり前だが勝てないと十分に楽しめないのでモチベーションの維持は難しい。一定の勝利数は初心者のモチベーション維持には欠かせないのだ。
また、BFHはアンロックが全体的に厳しい。はっきり言って面倒である。これも初心者保護に一役買っている。アンロックが進んだ頃にはビギナーサーバーから締め出される事になるからだ。最終的には誰しも弱肉強食の世界に放り出される訳だが、圧倒的にプレイ時間に差が有る相手に一方的に倒される事は減り、初心者がゆっくり成長する機会を与えている。BFHは雰囲気作りや遊び心と合わせて初心者がプレイを継続しやすい下地を用意してくれたのだ。
3/23追記
分隊単位での高いチームプレイが必要とされる従来のシリーズと比較した話。チームプレイ無しでも戦える機会が増えただけで、チームプレイ無しで勝てるほど甘くはないので注意。
最後に
賛否両論がある本作だが、シリーズとしては何処かで新たな挑戦をしなければならない。その点ではCoD:AWもBFHも変革に成功したと言える。既存のファンでなく新しいファン獲得が目的であり、既存のファンによる非難は成功の証であろう。
新しく誕生したシリーズで参加せずに初心者は何処で参加すると言うのか。多くのファンを擁するBFとCoDの中間に位置する本作は対戦FPSデビューに適した良作である事は疑いようがない。
- 出版社/メーカー: エレクトロニック・アーツ
- 発売日: 2015/03/19
- メディア: Video Game
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