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スリーデイズ・ボディ~彼女がゾンビになるまでの3日間~

 邦題で盛大なネタバレしてるこの作品。アルバトロスとしては当たり作品でした。アルバトロスさんのゾンビは安定している気がする程だ。でも騙されちゃいけない。驚くほどのダメ映画も沢山あった。

 題名に負けず劣らずネタバレたっぷりで書く訳なんだけど、ネタバレしても作品の魅力は損なわれないのが凄い。
 感染系の映画なんだがエボラ出血熱が話題なのでちょっと迷った。でも映画だし良いよね。



 感染してからの3日間を描いた作品で描写が丁寧で美しさとグロさのバランス感覚に優れています。そして静かで確かな恐怖を感じるゾンビ作品。ゾンビ映画で一番怖かったかもしれない。と言ってもゾンビが怖い映画じゃ無いね。
 

 主人公はレズビアンのとても美しい女性。スタイルも良く雰囲気も「美人!」って全身でアピールしている。随所に花の話題が出てくるのと合わさって高嶺の花と言う言葉をイメージする。
 ストーリーは女性の心情を中心に描かれていて、女性は様々な面でリアルに怖い映画だと思う。終盤でちょっと盛り上がりに欠けるのが残念。それが無ければ名作ゾンビ映画として名を馳せたかも。


 見所は感染の進行過程の描写と主人公の恐怖。不安だけど大丈夫に違い無い。暫くすればきっと治るはず。そう信じたい主人公の焦りと非情な現実を十分に堪能できる。
 色々とストーリーに違和感を持ちかねないんだけど、それなりに妥当な理由は用意している。



 ポイントは
 1)主人公は薬物濫用経験があり自傷行為も行っている。
 明らかな異常が目立つ割りに周りの反応が少ない。特に母親は身体の変調に積極的に関与しても不思議じゃ無いんだけど、自傷行為であると思って放置してしまっている。爪が剥がれていても触れなかったり、火傷や脱毛に関して反応が鈍いのはその為だ。


 2)アメリカは保険が効かないから治療を受けれない。
 初診はともかく再診時にはどう見たって異常事態なんだけど、お金に困っている主人公に大きな病院に行く選択はとても出来ない。その為に医師も積極的に紹介しない。(それでも隔離考えて良いと思うけどさ。)
 現実でもアメリカだったらあれだけ体調不良でも診察受けるのが難しい人達は居るだろう。


 3)不安から来る逃避行動
 主人公は死の恐怖に晒されている。だからこそ病院でその現実に直面するのを恐れている。逃げてどうなる訳じゃない。それでも知るのが怖いのだ。
 がん検診なんかでも見掛ける行為ですね。後半の主人公は逃避行動を重ねていく。終盤の不安から来る衝動かゾンビ化による影響かあやふやな時期が不気味。



 感染を切っ掛けに拠り所を失っていく主人公。最後の最後まで味方をしてくれたのは、冒頭から邪険にしていた母親だけと言うのも切ない。親は本当に有り難い物だ。


 個人的にこの作品で一番の収穫は初潮を迎えた女性の気持ちがちょっと分かった気がする所。自分の下半身から出血したらそりゃあ驚くよね。怖いよね。

 女性は想像以上に大変なんだろうな。