クロエとレイチェルの馴れ初めが描かれる
父を亡くし親友マックスと疎遠になったクロエは不良少女まっしぐら。つまらない毎日に絶望していた彼女は美人で人気者のレイチェル・アンバーと出会い変わっていく。
『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』(Life Is Strange: Before the Storm以後『Lis BtS』)は前作の主人公マックスが帰郷する前の物語だ。
要旨
久々に出会うクロエは相変わらずで、相手を言い負かすシステム『バックトーク』はクロエらしく軽妙で心地よい。
物語の中心にいるレイチェル・アンバーは華やかで危うくもあり、強く惹き付けられた。クロエが彼女から大きな影響を受けるのも納得だ。
前作との整合性に欠けるシーンも少なくないが、その点を差し引いてもファン必携の記憶に残る作品。
物語と繋がるゲームプレイ
『Lis BtS』はゲームプレイにきちんと意味を持たせている。幾つか例を紹介しよう。
例えば部屋に忍び込んで鍵を空けるパズルはどうだろう。部屋を見渡し使いそうな数字を探す過程で、部屋の主のことを自然と知ることが出来る。
新要素『バックトーク』も面白い。相手の言葉尻を捕らえ畳み掛けるミニゲームは、『Firewatch』の無線みたいにキャラクターへの理解を助けてくれる。
安易なQTEや取って付けたミニゲームで物語とゲームを繋げる作品は多い。それでゲームが物語を邪魔しては本末転倒だ。
その点『Lis BtS』は人物像が伝わるミニゲームが揃っていた。
『Lis BtS』はファン必携
面白いが前作の思い出に助けられている面も多い。テーマとなる嘘と真実を選ぶ葛藤はかなり弱い。
遠い結末は決まっているので変化にも限界があり、少し物語に無理を感じる。
本作で登場した人物たち、特にレイチェルの両親が、今後の物語で夢幻の如く消えてしまうと違和感がある。
それでも前作の内容を補完して、プレイヤーの心に新しい思い出を残してくれる作品だった。
ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム - PS4
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2018/06/07
- メディア: Video Game
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以後は前作の内容を含めたネタバレ感想です。
正直いって辛いゲームだった
クロエが登場した瞬間から気持ちは高ぶり一気に引き込まれた。そしてクロエ同様に美しく危ういレイチェルの魅力の虜になっていく。
そして楽しそうなクロエを見る度に、前作で選んだ私の結末がグサグサと心を抉ってくる。何せ私はクロエを見捨てたのです。
ただでさえ未来を信じるレイチェルの言葉が辛い。さらにクロエに訪れる未来を知っているので二重に辛い。
もうエンディングがキツイ。幸せそうな二人を、もっと見ていたい、この一瞬が続いて欲しいと願わせてからの非情なラスト。鬼ですか?
これ作品順でプレイしても時系列でプレイしても地獄で逃げ場なし。
おまけのボーナスエピソードに口直しを期待しましたが、クロエの悲しみを補完する内容ときた。ほんっと救いがなくて辛かったです。
そんな暗澹たる気分はミックステープモードで素敵な音楽たちが救ってくれました。これが無かったらしんどかったと思います。
実の所『Lis BtS』は時間を戻すゲームシステムも変わり、結末も判っているだけに駄作になりそうで怖かった。
それは杞憂でしたが、ゲームとしては平凡な代物で、かなり前作の思い出に助けられました。
また物語の整合性に欠けるシーンもあり違和感も残ります。
クロエの父ウィリアムの死を乗り越えた様に見えるシーンや、義理の父デイビッドとの和解は腑に落ちない。
なによりレイチェルの捜索で家族が登場しないのは不可解になってしまった。
とは言えクロエがレイチェルに執着する気持ちが理解できたので、全体としては満足です。二人が並ぶ姿を見るのは純粋に楽しかった。
ところで『レイチェル・アンバー』って音感が良い名前だと思いません?フルネームで呼びたくなるの分かります。