DMC5のアクションは脳髄までキマる
『バイオハザード7』の『Re:エンジン』を使い、美麗な映像で表現される『DEVIL MAY CRY 5(デビルメイクライ5)』(DMC5)。
本シリーズはスタイリッシュアクションと名付けられたゲームだ。はて、スタイリッシュとはなんだろう。調べると、流行に沿った、粋な、と出てくる。一言でいうならばカッコイイだ。
そう。DMC5は圧倒的にカッコイイ作品であり、カッコイイから面白く楽しいのである。
プレイヤーをコンボへ誘う魅惑の報酬
DMCシリーズの魅力はプレイヤーにコンボを重視させるゲームデザインにある。
アクションゲームに限らず難易度を上げる手段として、敵の体力を増やす・火力を上げる・数を増やすといった手段がとられることが多い。
手早く敵を倒すことを目的にすると、どうしても強コンボに頼ることになる。
その結果として単調な操作を繰り返す「ごり押し」で進むプレイヤーも少なくないだろう。もちろんDMC5も「ごり押し」でクリア可能だ。*1
ところがDMC5の目的は敵を倒すことではなく、むしろコンボ評価を上げることにある。
コンボを繋げ評価を上げれば眩く光る『S』の文字が並び、派手なエフェクトが画面を彩り、BGMはノリノリのサビに変化する。
ゲーム側がアナタのプレイはカッコイイ!凄いぜ!ってガンガン伝えてくれるのだ。
それも必ずしも格ゲーの様な洗練されたコンボである必要はなく軽率に褒めちぎってくれるので、その魅力にあっさりハマってしまう。
その最たる存在が新キャラ『V』だ。とりあえず避けながらボタン押すだけで、ド派手な絵で画面が埋め尽くされスタイリッシュにキマる。
また「うわ…私のコンボ、ダサすぎ?」とコンボに苦手意識があるプレイヤーも、『オートマチックアシスト』を使えばボタン連打でスタイリッシュに戦えるので安心。悪魔狩りの楽しさを存分に堪能できるだろう。
やり込みを支えるアクションの厚み
序盤からの褒め殺しで気分よくなったプレイヤーを夢中にさせるのが、豊富なアクションだ。
DMC5のサウンドはキャラクターの動きやコンボ評価に合わせてリニア変化する。
例えばネロの戦闘曲『Devil Trigger』は戦闘が始まると同時に曲が流れ始め、コンボ評価に合わせAメロBメロと曲が展開していく。
そしてコンボを繋げSランク評価に達すれば、晴れてサビに入りテンションも最高潮!
評価を上げきれず敵が倒れてしまうと、「おいおい、もっと楽しませろよ」と思ってしまう程の爽快感だ。
その爽快感を得るには、ごり押しでなく多彩なアクションを織り交ぜる必要がある。その為に用意されたアクションの厚みが凄まじい。
リスク管理が楽しい新武装『デビルブレイカー』を引っ提げた『ネロ』、3体の従者を使役する『V』、武装とスタイルの切り替えが魅力の『ダンテ』と、バラエティに富んでいる。
過去作の遺産を惜しみなく投入し、更に新規アクションもてんこ盛り。どれも洗練されたカッコイイ技ばかりで、流石は格ゲーのカプコンといったところ。
中でも『ネロ』の『デビルブレイカー』は派手で威力も高いが、使用中にダメージを受けると破壊されてしまう繊細な品。
主人公らしく一方的に連続攻撃を与え続けるシステムを体現したキャラに仕上がっていて奥深い。
個人的には『V』<『ダンテ』<『ネロ』の順番で難易度が上がる印象。アンロックと魅せコンボ追求が周回プレイへの原動力となっている。
全てをアンロックするのに要する『レッドオーブ』の数は少なくないが、課金で入手も出来るのでお好みで時間を買うこともできるのも好印象。
アクションを支える魅力的なキャラクター
スタイリッシュアクションを楽しむ上で忘れちゃいけないのが、魅力的なキャラクターたちである。
今回初のフォトリアルなグラフィックに挑戦とあって、各インタビューで答えている様にハリウッド映画を超えるのが目標となったそうだ。
キャラクターもハリウッド映画化したら、こんな感じだろうというイメージでデザインされたという。
それが理由かDMC5では、ちょっとダサい所を見せる血の通った人物描写が目立った。
それでもシリーズの顔である『ダンテ』を始めとするDMCの登場人物たちは相変わらずカッコイイ。
それは美形だとか強いからでなく、行動やセリフに悪魔退治のプロらしい余裕と自信が見られるからだ。
おいおい。と突っ込み入れたくなるカットシーンでも、ダンテのセリフ回しとノリで許せてしまう。
そしてプレイが始まれば戦闘の勢いと熱さで、細かいことはどうでも良くなってコンボに夢中になる。*2
カッコイイを核として練られた本作は、演出、アクション、キャラクターの面からみても至極のアクションゲームである。
気軽に遊びたい人も、じっくり遊びたい人も満足できること請け合いだ。