第1弾DLC「無情なる心」
ウィッチャー3のDLC「無情なる心」では異国オフィルの北方とは毛色が異なる装備や文化が登場し、本編とは違った新たな魅力を引き出していた。相変わらず家族をテーマとした物語の質も高い。
総論
ウィッチャー3が高い評価を受けた理由の一つに「家族」をテーマにした事があるだろう。だから国を越えて誰でも物語へ入り込めるのだと思う。
「無情なる心」でもそれは健在だった。家族の離散。結婚。親族との確執。相続の問題。兄弟の関係。夫婦の関係。家族とペット。
最初は無関係に見えるが全てはオルギエルドとその妻イリスへ繋がっていく。本編にも言えるがエンディングを楽しめる様にクエストを作っている所が素晴らしい。
やや残念なのは新たな強化方法は投資が辛いのも有って殆ど利用しなかった点。どうしても強化しなければならない訳でもなくオマケ感が否めない。
ラストで幾つか武器が手に入るが使う相手が居ない事を考えると、第2弾DLCとなる「血塗られた美酒」へ向けた準備も兼ねているのだろう。
以下にダラダラと感想を記す。ややネタバレ含むのでご了承を。
シリからゲラルトの物語へ
推奨レベルが本編クリア後を想定しているのもあって、DLCはエンディング後の旅路という印象があり、オフィルの空気に新しい旅の始まりを感じることが出来た。
冒頭のカエルの王子様は本編の延長と言う感が強く、「まあ、DLCはこんなもんだろ」と思っていた。
しかし、物語が進むに連れて楽しいイベントがどんどん出てくるじゃないか。幽霊に憑依されたり、怪盗ゲラルトとなってみたり、絵画の世界へ入り込んだり。
一見無関係に見えて繋がっているバラエティ豊かなクエストの伏線が収束していく終盤で「無情なる心」(原題の方が通じるけど)の意味が見えてくる。
プレイヤーの進め方によっては誰が一番「無情」なのか印象が異なりそうなのも良い。ウィッチャー3は曖昧さの使い方が上手いと思う。
魅力溢れる登場キャラクター達。
シャニは可愛いしウラジミールは面白い良い奴だった。クソ野郎ながら鏡の男は時折良いことを言うし、オルギエルドも最後には憎めなくなってしまった。むしろ良い奴だった。
自分は完全に製作サイドの意図にハマったと感じる結果となり、小説を読み終えたかの様な満足感がある。ウィッチャー3はキャラ作りが上手い。
独り身になった自分のゲラルトにはシャニは癒しだった。たとえ一時だとしても。
友人に居たら楽しそうなウラジミール。ロシア読みなのでオフィルの元ネタはロシアなのかな?
人の願望に敏感な『鏡の達人』は言葉遊びも得意。印象的な台詞が多かった。
夫婦の話を受けてオルギエルドに同情してしまった。そして自然と悪役が『鏡の達人』に移っていった。
しゃべる猫と犬。仮に言葉を発しなくても彼等も家族だ。イリスにとっての支えになっただろう。
不可能を可能にする男ゲラルトの旅は「血塗られた美酒」へと続く。ウィッチャー3最後の物語が楽しみである。