メタルギアソリッドV(MGS5) シングルプレイの感想・評価
- 出版社/メーカー: コナミデジタルエンタテインメント
- 発売日: 2015/09/02
- メディア: Video Game
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オンライン要素なしでも相当に遊べそうな本作。その開発費をKONAMIが嫌がるのも分かるボリューム。
総論
コジプロの美学と執念により誕生した、眠っているゲーマー魂に火を付ける傑作。高いゲーム性と遊び心に溢れており、自然と深いプレイへ導かれる。
潜入と言う行為をそのままゲームに落とし込んでいるので、じっくりと腰を据えてプレイする必要がある。長めのチュートリアルを終えるまではやや忍耐が必要か。
リアリティある潜入ゲーム
従来のメタルギアは一本道のMAPを進ませ、隠れる場所やカモフラージュ率の様な正解に近い物をゲーム側が用意していた。しかし、オープンワールドと合わさったMGS5では正解と呼べる様な物は無くなった。
今回はミッションの場となるフィールドに合わせて、侵入ルートから脱出地点まで自分で決めるのだ。その為、プレイヤーはルートや装備確認と言った潜入準備に時間を掛ける必要がある。
簡単に過程を示すと以下の通りだ。
1)遠方から索敵し敵をマーキング
2)高所から地形を確認
3)必要な装備・補給の要請
4)必要があれば離脱地点の確保
5)潜入開始
6)不測の事態に対応
7)目標達成後に離脱
注目点は6)だ。MGS5では昼夜だけでなく天候も変わる。その影響は自分に有利になったり不利になったりと様々だ。
また、潜入中に敵の巡回ルートの変更や車両の立ち寄りと言った戦力配置の変化もある。さらにプレイヤーの癖に合わせて次第に拠点の防衛体制が変わってくる。
これら不測の事態によりプレイヤーは絶えず潜入の緊張感を楽しめるのだ。
障害となる優れた兵士達
MGS5の兵士は非常に優れている。かなりの距離を察知するし音にも敏感だ。複数で行動する場合も多い。そんな兵士が10名以上の小隊を組み拠点を守っている。
そしてステルスゲームに有りがちな気配メーターやら敵の視界を示すような物は無い。プレイヤーの目や耳そしてガジェットを駆使して、そんな兵士達に対応しなければならない。メタルギアの定石を知らぬ初心者には辛いだろう。
さらに初心者に追い打ちを掛けるのが、発見時の多様な攻撃である。潜入途中で発見され戦闘になると、互いにカバーしながら攻めてくるので手強い。
兵士の行動や動作には拘りが見られ、見付かって戦闘になるのも潜入の醍醐味だと言わんばかりだ。
大まかな兵士の行動様式。
1)制圧射撃による足止め
2)部隊を横に展開し包囲
3)斥候として分隊を派遣
4)迫撃砲による炙り出し
5)展開した部隊からの一斉射撃
彼等はありがた迷惑とも言える軍人らしい多彩な攻撃を披露してくれた。かと言ってシリーズ恒例のマヌケな部分も持ち合わせているので憎めない。
メタルギアの歴史は彼ら兵士と共に歩いてきた。兵士の行動の進歩は感慨深い。
全てを纏め上げるコジプロの哲学
MGSは各要素だけで評価すると他のゲームと比べ特別優れているとは思わない。しかし、コジプロの哲学とも言える二点により「オープンワールド×潜入」のゲームシステムは洗練された。
その一つ目はMGS5の最大の魅力であるマザーベースを使った収集・育成システムだ。この部分は「日本のゲーム」らしさの結晶だろう。
前述した様に困難を伴う静かな潜入を行い、優れた兵士を捕らえて仲間にする行為。その努力を発展したマザーベースと家族となった兵士達が報いてくれる。だからこそ、再び辛い潜入ミッションにプレイヤーは向かえる。
このサイクルが安易な「火力による突破」や「殺傷による無力化」と言う選択を廃し、MGS5を潜入ゲームとして成り立たせている。(いや、誘拐ゲームか?)
二つ目はリアリティとユーモアのバランス感覚だ。高いリアリティは一部の不自然さを目立たせることにも繋がる。そこをMGS5はユーモアによって緩和している。
何せ段ボールを被って潜入が出来るゲームだ。プレイヤーはその遊び心に心を奪われ、細かい不自然さも受け入れられる。このユーモアがメタルギアの世界観を仕上げているのだ。
高いゲーム性と豊富な遊び心。MGS5は小島監督そしてコジプロが呼び起こした「古き良きゲーム」である。
プレイヤーは自然と「やり込む」方向へ導かれ、気が付いたら「やり込み」への一歩を踏み出すのだ。
MGS5は単純にやり込み要素が多い事より、プレイヤーにやり込ませたいと思わせる作りを評価したい。
新規のプレイヤーは注意
コジプロ最後の作品となるMGS5はファン向けの作品であり、シリーズ未プレイの新規の人に向けては作られていない。一応「チキンキャップ」と言う救済アイテムも存在しているが、ライトゲーマーに対する配慮は少ないのだ。
先ずは本編より先に有料体験版となる此方をプレイした方が良い。ストーリーも繋がっており、引き継ぎ要素もある。何より安い。MGS5は高いゲーム性が売りなので「どんなゲームか」。これをきっちり確認し「自分に合うか」を検討した方が良い。それ以外の要素はオマケだ。
特にゲーム性よりグラフィックやオープンワールドに魅力を感じた人は、バットマン アーカムナイトやウッチャー3を買おう。同じシリーズ物でもそちらの方が新規でも楽しめる。
k456.hatenablog.com
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MGS5は演出や物語に力を注いだ作品が多い中、真っ向からゲーム性で挑んだ作品だ。地道なプレイを楽しめる人向けである。