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[感想・評価]生命の躍動を感じる『ABZÛ』レビュー

『ABZÛ』が描く海に癒される

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 『風ノ旅ビト』や『 Flowery』を手掛けたディレクターの作品。プレイヤーは美しく雄大なABZÛ(知の海)を巡るダイビング体験を楽しめる。
ゲームソフト | ABZÛ | プレイステーション


要旨

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 『ABZÛ』にはリアリティが与えられている。実在する海洋生物の存在が現実世界との繋がりを感じさせ、魅力あるダイビング体験に仕上げている。
 『ABZÛ』の舞う様な移動、そして幻想的な美しい風景に『風ノ旅ビト』や『 Flowery』の系譜がみられ、印象的なシーンには事欠かない。 
 物語の解釈を楽しむ余地はあるが、プレイの中心が探索ではなく観察・鑑賞であるのは退屈さと紙一重である。



    

驚くほど精彩な海

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 PS4Proと4Kモニターの恩恵もあり、多数の魚が密集している魚群が細やかに描画されている映像を楽しめた。

 『ABZÛ』では実在する海洋生物たちが多数登場する。グラフィック自体は決してリアルとは言えないが、それらが集まり表現される生態系には確かなリアリティがあった。

 生態系を好きなだけ観賞できる『瞑想』は水族館のコンテンツの様であり、本作最大の魅力であるダイビング体験を補強している。

 特にイルカやクジラのといった人気の生物が登場するステージには力が入っており、シーンによっては実際に海中から眺めている気分になれた。

 

VR対応が望まれる

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 『ABZÛ』の多彩な海洋生物の観察・鑑賞は興味深くダイビング体験としての完成度は高い。

 ただ広さよりも魚群の密度を重視しており、広大な海を泳ぐプレイを期待していると落胆しかねない。
 それでもスカスカの海を泳ぐより画面一杯に生物が溢れる方が面白いのは確かである。

 また出会いと別れの旅路を表現した『風ノ旅ビト』と比較すると探索の楽しさは乏しく、風に乗り咲き乱れる花で彩る『Flowery』と比較すると操作する楽しみに欠けている。

 
 海洋生態系を表現した『ABZÛ』の魅力と欠点はVRゲームに通じる。特に瞑想での鑑賞はVRと相性が良いこと間違いない。PSVRに対応していないのが惜しい。

 ちなみにPC版なら自前でVR化して楽しむことも出来るようだ。勿論のこと評判が良い。羨ましい。
  


 余談になるが海を舞台としたゲームでは、環境問題をテーマとした海洋VR『Jupiter&Mars』に期待している。
 汚染された地球を救うため旅に出る2匹のイルカのアクションアドベンチャーとのこと。楽しみである。


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Jupiter & Mars - PSX 2017: Announce Trailer | PS4, PS VR - YouTube