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Bloodborne (ブラッドボーン)のビルゲンワースに見る科学の姿

全ての発端であるビルゲンワース

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 ビルゲンワースは古代トゥメル人の遺跡を探索し神秘と上位者の研究をしていた。その想いは医療教会に引き継がれることになる。
 ビルゲンワースで学長ウィレームが、医療教会でローレンスが神秘を求める姿には科学者の狂熱が見てとれる。


地質学は科学の最先端

 ヤーナムは古代トゥメルの女王の名を戴く街だ。聖杯教会の存在からも古代トゥメルは信仰や迷信の対象だったと伺える。それでもビルゲンワースは神秘の探求のため、危険な墓守りと病で溢れるトゥメルの墓所へ人を送ったのだ。
 後に狩人と呼ばれる彼等の探索により、ビルゲンワースは上位者の知識や仕掛け武器の様なトゥメルの遺産を手にしていく。


 神秘の研究を通じビルゲンワースは次第に神(概念として)への信仰を失い科学の道へと進んだのであろう。それ故に強大な彼らを恐れず『上位者』と呼んだと考えられる。

 考古学から神秘の研究へと進んだビルゲンワース。これは19世紀イギリスで大地に海の痕跡を求めた地質学が科学の先駆けとなったのがモチーフだろう。

 初期の地質学は神の起こした大洪水の痕跡を大地に求めた。その検証過程で地質学・考古学は科学の道へと進んでいった。

 人類は神の存在を証明しようとして科学の道を拓いた。その結果として皮肉にも神と宗教から距離を置いたのである。


意外とマトモな医療教会

 かつては医療都市として名を馳せたヤーナム。私は当初の医療教会は割と真っ当に研究をしていたんじゃないかと考えている。


 技術者集団である工房の中でも『火薬庫』は神秘に頼らぬ火薬と電気に未来の姿を求めていたし、実験棟での研究もアデラインの話を聞く限りでは、被験者を募った上で実験を行っていた様子である。


 星の娘と邂逅した聖歌隊は孤児を利用した非道とも言える実験をしていた。ところが19世紀当時は身寄りが無い孤児は、その身をもって社会に貢献するのが当然だったので不思議でもない。


 上位者を目指すためローレンスを筆頭とした聖職者も、自らの体を用いた実験により獣の病に冒されている。 
 現実における人体実験も意外と研究者本人の体を利用したものが多い。なぜなら体験という形で正確な情報が得られるからだ。


 自身に梅毒を感染させた実験医学の父ジョン・ハンター。命懸けの自己実験でモルヒネ・アドレナリン・カフェイン等を発見したフリードリヒ・ゼルチュルナーなど数々の偉人(狂人)が名を残している。

 映画などでマッド・サイエンティストが研究の成果を自身の体をもって披露するのも納得である。


科学と神秘は紙一重

 人類が宗教から科学の信仰へと移ったのは実利が有ったからだ。教義、思想、理念では寒さを凌げないし腹も膨れない。

 しかし、科学は生活を豊かにしてくれた。例え殆どの利用者が理屈をよく分かってなくても。


 だからこそ現代社会で生活する私達は科学を信じるようになっている。しかし、科学は私達が思っている以上に良く解らない力を利用している。


 例えば飛行機を飛ばす技術は確立しているが、何故飛行機が飛べるのかは明確になっていない。電気の生産と利用も日常的に行っているが、電気の詳細は未だに解明中である。


 なんだかんだ科学は仮説で成り立っており、現代でも自然の神秘は神秘のまま利用されている。ある意味では発電だって儀式と言えそうだ。


ブラッドボーンは祈りが勝利した世界

 科学と信仰を利用して栄華を極めた医療教会。しかし、獣の病によりローレンスを筆頭とした聖職者が獣となり研究者達の叡知は失われ、続いて英雄ルドウイークの獣化と共に狩人の時代は終わり工房は閉ざされ技術も失われた。


 この時に科学の頂きとしての医療教会は終わりを迎えたのだろう。そして信仰と祈りに重きに置いたメンシス派が主流になった様だ。
 それも仕方ない話だろう。かつて科学は実利によって宗教が支配した世界を変えた。しかし、メンシス派は祈りと交信で求めた『悪夢』を得たのだから。


 上位者達の思惑とは別に、科学の徒ウィレームや技術者ゲールマンとしては、ミコラーシュの思想とは相容れなかったのかも知れない。例え祈りで世界が変えられるとしても。