ホームズ体験が出来るアドベンチャー
- 出版社/メーカー: インターグロー
- 発売日: 2016/12/22
- メディア: Video Game
- この商品を含むブログを見る
ちなみに私は熱心なファン「シャーロキアン」では無いが、原作小説を全て読んだ上での感想となっている。
総論
原作小説の雰囲気を味わえる良作。ホームズとなって捜査し事件の謎を解く流れが面白い。
ホームズの観察力や推理力をゲームとして上手く表現しており、事件の背景も「ホームズらしさ」を感じさせてくれる。
MAP間のロード時間に推理させるのは良い発想だが、移動を多用されると長めのロードと合わせ少し退屈ではある。
最も残念なのは物語の途中で入るスキップ可能のミニゲーム。短時間に頻発するシーンでは苦痛に感じる人も居るだろう。
ホームズの魅力に溢れる作品
予想以上にシャーロック・ホームズという作品の魅力が上手く描かれている。シリーズ8作目は伊達ではなかった。
私がイメージするホームズと比べると精悍で少し慌てすぎるが、ロバート・ダウニーJr.主演の映画に合わせたのだろうか。むしろ違和感を持たない人の方が多いかもしれない。
不思議な事件の真相に迫る流れには原作小説の息吹きを感じるし、必ずしも司法に則った判断を下さないのもホームズらしい。
思った以上にホームズ感があるので、決断を下す際にホームズならどうするだろう?と迷ってしまうくらいだ。
ホームズの知性を表現するシステム
ゲームではワトソンの視点で進む小説とは異なりホームズの視点で描かれる。
プレイヤーはホームズとなり観察力や推理力を表現したシステムを通じて、バラエティに富んだ事件の真相に迫る。
ホームズと言えば人間観察。
現代と同様に化学分析で客観的な証拠を集めることも。
証言に矛盾が無いように事件当時の出来事をイメージで再現する。
ニューロンをイメージした集めた推理空間で証拠・証言を元に結論を導き出す。
この様に多種多様なシステムでホームズが持つ常人が見落とすような微かな情報も見逃さない観察力や、証拠と証拠の空白を想像力や知識で埋めていく姿が描かれている。
面白いのだが色々と惜しい
証拠を探し事件を解き明かすのは純粋に楽しいのだが、二つの失敗が評価を下げてしまっている。
一つは余りにミニゲームが面倒で邪魔でしかない点。決して全てのミニゲームがダメではなく面白いものもある。それでもプレイ時間の水増しに感じてしまうのは確かだ。
二つ目はMAP移動の際に挟まれる長いロード。この時間に資料を見たり推理空間を開けるのは良いアイデアだろう。
問題は頻繁にMAP移動が必要となるシーンだ。現場に出向いて証拠を得たら、分析するためにトンボ返りでは辛いものがある。
小説の雰囲気を醸し出す良作
ゆったりと小説を読むようなプレイが楽しめる地味ながら味わい深い作品。証拠を集め事件の真相に辿り着くと、静かな興奮と確かな満足感が得られるだろう。
ゲームを楽しめた人は是非とも小説版を手にとって、ホームズとワトソンが出会った不可思議な事件の数々に触れて欲しいと願う。
余談ですが小説版は新潮さんが好きです。毎回凝った装丁で素晴らしい。この装丁と出会わなければホームズを読む日は来なかったかも。
- 作者: コナン・ドイル
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る