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PSVRの真価を引き出した『Rez Infinite』レビュー

『Rez Infinite』はPSVRを輝かせた

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 「うって、ノッて、絶頂へ。」のキャッチコピーで登場し、熱狂的なファンを産んだシューティングゲームがPSVRで生まれ変わった。

 私はRez Infinite(Rez)を過小評価していた。以前に体験会でデモをプレイしていたことが目を曇らせたのだ。ただ、そのお陰で事前に情報を殆ど得ずにプレイできたのは幸運だったと言えよう。

 RezはVR体験として極上の代物であることを保証する。可能な限り真っ白な状態でプレイして欲しいと願う。

 Area1~5をプレイし新たに追加された『Area X』へと到達した時、その空間に圧倒された。圧倒され続けた。

 Rezは必ずPSVRでプレイすべき逸品である。



 以後の感想はややネタバレを含むので注意。

穏やかなArea1~2

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 この辺りでは率直に言うと平凡なVRゲーム作品だと感じ、どちらかと言えば私はVRによって得られた新しい操作性の方が興味深かった。

 今までのシューティングはコントローラーのスティックとボタンを組み合わせ、視点変更し敵を探す→狙う→撃つという流れが必要となる。

 ところがVRが与えたヘッドトラッキングにより、視る→撃つと限りなく直感的な操作が行える様になったのである。クリア後に通常版でプレイしたらVR版は操作の快適さが段違いだと分かった。

 このトラッキングを利用した操作のお蔭で脳が余計な負荷から解放され、より自然体でゲームを楽しめた。

目を見張るArea3~5

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 当初の感想とは異なりどんどん印象的なシーンが増え、Rezが提示する壮大なテーマも明確になってくる。
 

 『Rez』のプレイヤーアバターがなぜ人の形をしているのか、そしてゲームにはどのような隠された物語があったのかを水口氏は明らかにしました。
 『Rez』では、プレイヤーはサイバースペースのハッカーとして世界を守るという物語が説明されていましたが、実は、誰もがはるか遠い記憶の中で経験している「精子」の物語を表現しているのだそうです。
 『Rez』では、精子が卵子へとたどり着き受精するまでを描いており、アバターが赤ちゃんであることや、最終ボス戦にて女性キャラクターが出現してプレイヤーと結合するのは、新しい命の誕生を表現しているのだそうです。

【レポート】今明かされる『Rez』の隠されたストーリー…実は精子が卵子へとたどり着き受精するまでを描いていた | インサイド

 Rez初プレイとなる自分も、この頃には先人達がRezに熱狂していった気持ちが分かった。光と音楽が織り成す誕生の物語は、私を心地好いトランス状態へと導いてくれたのである。


 広大な世界と空間を表現できるVRとArea5でRezが表現した原始の海は余りに相性が良かった。この時点で最高だと満足していた。

  しかし、クリア後に解放された『Area X』では想像を遥かに超えた世界が待っていたのである。


想像を超えた『Area X』

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 『Area X』はPSVR用に追加された新たなRezと言って過言じゃない。それまでプレイしてきたArea1~5をイメージしていたので開始早々から衝撃の連続だった。


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「なんだこれ。全くの別物じゃないか。」


 映像の美しさだけでなく、それまでのレールシューティングとは違い自由に操作が出来るようになったのである。

 自由自在に動き、光の粒子に包まれる体験は、完全に次元が違っていた。


 ステージを進めるに連れ言葉を失い、凄いとしか表現できなかった。VRでもRezでもなく『Area X』としか表現できない世界があった。プレイ中もクリア後も興奮が止まらなかった。






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 『Area X』が与えてくれた感動は富士の頂きと光り輝く太陽が創りだす御来光を見た感動に匹敵する。ゲームはこの領域まで来たのかと驚愕するばかりだ。

 こればかりは実際に体験するしかない。写真で見ても、動画で見ても、広大な富士の山頂で輝く太陽を眺めた感動は想像の域を出ない。その感動を得るには自身でその場に行くしかないのだ。


 PSVRとRezが創った『Area X』はそんな体験である。VR空間で見た者にしかわからない世界がそこには在った。

 
 『Rez Infinite』はPSVRじゃなくてもプレイできる作品なのでプレイしてみるのも良いだろう。通常版の『Area X』も良いものだった。

 最後に改めて、PSVRの所有者は必ずプレイすべき一本であると強く薦めておく。



追記
 Rezのプロデューサーである水口哲也さんに読んで頂けたようです。製作者の方に読んでもらえて嬉しかったので記念に残しておきます(笑)