人生はFPSゲーム。時々哲学。

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VRホラーの恐怖体験が凄い

VRとホラーの相性は抜群

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 Oculus RiftやPSVRで注目を集めているVR。人気タイトルであるバイオハザード7のVR対応が発表され、話題になったのも記憶に新しい。
 人間の脳は意外と単純だ。見ている映像と体の感覚が一致すれば事実だと錯誤する。多くのゲームで見慣れた映像ですら脳が騙されてしまう。


 だからVRで見回すホラーの世界は、すっごい怖い。


 そこで私がVR体験で感じた恐怖を紹介しよう。

その1.高所が怖い

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http://app.famitsu.com/20160328_681776/


 VRはプレイヤーに遠近感がある映像世界を与えられるので、大空や風景を楽しむ作品も数多く見られる。しかし、高所は同時に空を飛べない生物には恐怖を与える。なぜなら高所からの落下は死を意味するからだ。

 VRではジェットコースターで急降下するシーンには確かに落ちる感覚が得られ、地上200mの高さにある板を渡れば足がすくむ。

 大袈裟だと思う人もいるだろうが、目と脳を騙すVRでは『高い』と認識してしまうとVRの魔法に掛かってしまう。VRに風や揺れを加えた体験型だと尚更だ。


その2.近いが怖い

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 目の前に存在している感覚。VRでは確かにそれがある。迫り来る怪物、自身を襲ってくる刃物、飛び散ってくる血飛沫と・・・パニックホラーとVRは相性が良すぎる。

 VRホラーは『お化け屋敷』なのだ。現実世界では危険で出来ないことでもVRの世界なら可能になる。斧が頭上に振り下ろされたり、ゾンビに傷つけられる体験もVRなら可能になってしまう。

 顔を目掛けて飛来するだけで、ぎょっ!とするのに、これが死体だったり斧なら尚更だ。 VR ZONE Project i Canの『脱出病棟Ω』やGearVRのホラー『Sisters』には本当にビックリさせられた。


その3.デカイが怖い

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 近ければ近いほど感じるのがサイズ感だ。単純に巨大なものは圧迫感を与え、存在するだけで脅威を感じさせる。それが襲ってきたら恐怖を感じない訳がない。

 サメの巨体が檻を壊す姿や、唸るような轟音を立てながら迫る巨大なチェーンソーには思わず目を背けてしまう。

 PSVR体験会で遊んだ『the deep』では、頭が丸ごと入りそうなサメの巨大な口が目前で「ぐわぁっ!」と広がり迫ってくる。そこにはサメに喰われる恐怖が確かにあった。


その4.動けないが怖い

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 VRにとって酔いは避けて通れない問題だ。そこで対策の一つとして、多くの作品はプレイヤーの行動を制限することにした。戦闘機のコクピットやライブ開場が舞台のゲームが多いのは、そのためである。

 ならばホラーゲームならどうだろう?檻の中に入れられたり、車椅子に固定されたり、身動きがとれない閉所にする。最も原始的な恐怖への対策『逃げる』を封じることでプレイヤーの不安を高められる。VR酔いを軽減しながら恐怖は倍増と、ホラーとVRは本当に相性が良すぎる。

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『脱出病棟Ω』は車椅子に固定された設定。私も含め体験者は揃って絶叫してた。


VRで内なる恐怖が引き出される

 VR体験は映像を切っ掛けに過去の記憶や体験を呼び起こすことでリアリティを与えている。例えばVR内で人物の顔が近づけば、プレイヤーの中には実際に人が近づいてきたと錯覚し息遣いを感じる人もいる位である。その点ではVRは暗示の重要な技術とも言えるかも知れない。

 ならば本題となるVRホラーはどうだろう。そもそも恐怖とは『自分が怖いと感じた経験』無しには成り立たない感情で、その多くは死を連想させるもので強く印象に残っていることになる。


 つまりVRホラーはプレイヤー自身が体験した死の恐怖を引き出してくるわけだ。
 

 私の場合はゾンビや刃物より高所が駄目だった。自分でも意外な程に高所が怖かった。高い所から下を見下ろすのは平気だったので、恐怖を感じる自分にビックリしたくらいだ。
 しかし、よく考えたら私は高所恐怖症では無いけれどバンジージャンプは恐らく出来ない。やりたくない。そう思い至って自分は確かに高い所が怖いんだと気付かされた。


 VRホラーは自分が抱える『内なる恐怖』にハマると驚くほどに怖い。VRホラーは規制が必要だと言われるのも納得だ。ホラー好きなら是非VRホラーで自身に眠っている『内なる恐怖』と向き合って欲しい。