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[感想・評価]パンデミックを描くRPG『ディビジョン』レビュー

ディビジョンは崩壊後の世界を描くRPG

ディビジョン - PS4

ディビジョン - PS4

 アメリカで考案された対バイオテロプログラムを元に製作された期待のRPG。
 天然痘の大規模流行(パンデミック)により崩壊したNYの復興を目指し、無法地帯に足を踏みいれた部隊『ディビジョン』の戦いが描かれる。

総論

 堅実な作りの良作。世界観が好きならば期待に応えてくれるだろう。
 システムはハックアンドスラッシュ(ハクスラ)風のRPGで現代風のDestinyと表現するのが一番近い。装備や武器のアタッチメント等の種類も多くアイテム集めが楽しい。
 協力プレイや敵対プレイも可能でフレンドと遊ぶ方が楽しめるだろうが、思った以上に一人でも遊びやすい。
 キャラクターメイキングは不満。親戚どころか同一人物で溢れるマルチプレイになってしまっている。


パンデミック後の世界に入れる

 私は感染症をテーマとした作品が大好きである。感染症は抗生剤が誕生してからも人類に恐怖を撒き散らしている。ゾンビで好きな作品も感染系が多い。
 
 恐怖と同じく見えず、触れず、静かに広まり、長年人類を蝕んできた存在。感染症と恐怖は非常に相性が良く人は容易く混乱へと落ちる。
 
 身近ながら衛生面の意識が低い紙幣にウイルスを仕込んだバイオテロ。ウイルスは売買を介して一気に拡散し多数の犠牲者が出た。そして恐怖で人々は暴徒と化し、街は秩序と機能を失ったのである。

 ディビジョンでは恐怖に支配された街並みをリアリティある映像で表現している。

手軽にマルチプレイを楽しめる

 緩い協調プレイが楽しめるディビジョン。フレンドと雑談しながら遊ぶ人から、普段はマルチプレイをしない人まで楽しめる間口の広さが売り。 

 ソロプレイでもクリア出来るゲームなので緻密な連携も必要としない。レベルが適正なら敵を攻撃して仲間を回復するだけで十分に楽しめる。

 ボイスチャット無しでも問題ないし手軽な簡易マッチングもある。レベルの関係で足並みを揃える必要があるフレンド同士よりも野良プレイの方が楽かもしれない程だ。

 

レベル上げ重視のRPG

 ディビジョンはシューターでなくレベルを上げて強いアイテムを装備する必要がある「RPG」だ。良い武器や防具を見付けてもレベルが足りなければ装備することは出来ない。

 RPGなので敵とのレベル差があると太刀打ち出来ないし、戦闘も銃で狙う能力よりスキルの活用や位置取りが重要になっている。
 
 この努力の成果が目に見えるレベル上げという行為に人はハマる。レベルを上げてレア装備を手にし手強かった敵が蹴散らせる様になった瞬間に、プレイヤーは楽しさを見出だすのだ。


アイテム収集の魔力

 エージェントの地道な活動を模したのかサブクエスト達は地味で単調だ。それでも報酬を求めて本編そっちのけで街を駆け回ってしまう。

 ディビジョンをプレイさせる原動力はアイテム集めだ。その為にもプレイヤーが身に付けられる装備は多いに越したことはない。
 ディビジョンは見た目を変えるアイテムから豊富な銃のアタッチメントまで用意されており、UBIはアイテム収集をさせる上で必要なことを良く分かっている。

 はっきり言って面倒でもあるサブクエストやクラフト。プレイヤーはもっと手軽に良いアイテムが欲しいと感じるだろう。
 そして奪い奪われる魔境であるダークゾーンへと足を踏み入れていく。



ゲームの肝となるダークゾーン

 ダークゾーンは貴重な物資が眠る危険なコンクリートジャングル。未開の地の開拓には常に危険に満ちている。

 ダークゾーンで手に入れたアイテムは、ヘリで回収し除染しないと完全に自分の物にならない。
 ヘリで回収する前に倒れてしまうとアイテムをその場へ落としてしまう。そう、他のプレイヤーを倒してアイテムを奪うことが出来るのだ。

 しかし、そんな無法者はローグと呼ばれる存在となり、正義の名の元に物資を狙う他プレイヤー達の標的となってしまうので悩ましい。

 友好的に見える彼は実はローグかもしれない。いや、アイテム欲しさにローグになるかもしれない。むしろ相手を倒してしまえば・・・。

 ダークゾーンでは確かに無法地帯に生きる人の精神を体験できる。


そしてディビジョンの魔力に感染する

 Destinyの失敗と復権を参考にしたであろうディビジョンは手堅く作られている。世界観を中心に独自性を示しているがシステムは無難で安定感がある。

 ディビジョンはレベル上げとアイテム集めの螺旋に上手くハマると、サブミッション消化がどんどん楽しくなる作りになっている。
 敵が落とした光るレアドロップに感じるワクワク感はスマホゲーのガチャに通じる楽しさだ。これにハマるとプレイが止まらないだろう。

 逆に「アイテム収集」や「地道なレベル上げ」が嫌いな人は向かない。プレイヤーの能力で競う対戦ゲーム好きには作業感が勝ることだろう。

 ディビジョンは強かった敵が雑魚になる瞬間が好きな人向けのRPGゲームである。