VRとは空間の体験である
ゲームで話題のVR(ヴァーチャル・リアリティ)。未体験の人には凄さが伝わりにくい技術だろう。
一般的にVRはVRHMDと呼ばれる頭にかぶるディスプレイを使ったコンテンツを指すことが多い。
Oculus Rift Game Test - Business Insider
使用されるVRHMDにはハイエンドPCで使う「Oculus Rift」やスマホを利用した「GearVR」の他、家庭用ゲーム機であるPS4と繋げる「PSVR」辺りが代表的だ。
その他にGoogleやApple等もVR機器の開発を行っていると発表している。
VRHMDを見たときに多くの人は身近になった3D映画を思い浮かべるだろう。自分もVRを体験するまでは3D映画と同レベルの物だろうと思っていた。
しかし、実際に体験してビックリした。VRは3D映画以上に「空間」を表現できる技術だったからだ。
そんなアトラクションを彷彿とさせるVR体験の片鱗を、身近な体験を例に伝えようと思う。
人は脳で物を見る
VRは架空の世界や遠くの場所といった別の「空間」に居ると「錯覚」させる技術である。先ずは、その錯覚に関して少し触れようと思う。
人間の目は二次元の情報しか得られない。そこで得られた二次元の情報を脳で三次元の映像として変換している。言うならば人は脳で三次元の世界を見ているのだ。
映像を処理する時に脳は様々な情報を利用している。その中で重要になるが意識が関与する「認知」と、左右の目で見る映像の僅かな違い「視差」である。
特に映像を楽しむ上で認知に関しては「錯覚」として以前から利用されてきた。騙し絵などが良い例である。
引用:M.C. Escher - The Official Website
画像は騙し絵で有名なオランダの画家マウリッツ・エッシャーの作品だ。
彼の作品を見て体験できる様に、人は認知によって容易に取り入れる情報が変わる。中心として見る場所が変われば映像から受ける情報も変化するのだ。
その認知の錯誤に加え、左右の視差を利用して「立体」に見せているのが3DやVRである。
VRは3D映画と何が違うのか
VRと誰もが一度は体験したであろう3D映画の違いを簡単に説明しよう。どちらも視差を利用して立体感を演出する技術であり基本はとても良く似ている。
3D映画はスクリーンを起点に手前と奥を認識しているに過ぎなかった。対するVRは現実世界と同じく自分が空間の起点となる。
つまり、簡単に表現するならスクリーンを窓に変えるのが3D映画で、その窓から映像の世界へ入れるのがVRなのだ。
VR空間では自身の周囲360度に遠近感のある映像が広がっている。首を動かし見回せば足下や背後にも映像が広がっている。
こう表現すると周囲をモニターに囲まれた部屋を想像するかもしれない。しかし、それとは全く違う体験なのだ。
例えるなら高所から見下ろした映像を足元のモニターに映すのと、実際に高所でガラス張りの床に立った時の違いを想像して欲しい。
両者とも実際に落ちる訳じゃ無いのだが、高さ(距離)を感じるガラス張りの床に対してはぞわっとする様な変な感覚を覚えるだろう。距離感が得られるVR空間なら、それに近い体験が得られるのだ。
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この動画も決してオーバーなリアクションじゃない。危ないのでマネしちゃいけない。
VRは脳を騙す
http://www.sumayado.jp/tokusyu/themepark/jt01_17.html
3D映画を経験した人は、そんな事言ってもリアルに感じるわけが無いって思うだろう。それは当然の反応だ。
優れた3D映画はスクリーンを窓に変え、スクリーンの先に世界が広がってると私達に感じさせる。それを私は映画「アバター」で確かに感じた。
しかし、問題は「飛び出る映像」である。確かに飛び出てくる様に見えるがリアリティを感じにくい。何故ならスクリーンからこちらの空間に飛び出た映像は「異物」になってしまうためだ。
その点でVRならスクリーンを越えゲームや映画の世界へ入るので、統一感があればチープな映像だろうが異物とはならない。VRではリアルな映像より立体視が与える「そこに存在しそうな感覚」が重要になる。
統一感がある世界と立体視が創り出す「さわれそうな映像」を切っ掛けに、脳はその空間が実在すると「錯覚」してしまう。だからこそVR体験はリアルに感じるのだ。
Mixed reality test #4! A bit of jitter here but it was due to bad anchoring of the controller to the camera. pic.twitter.com/AvDidaoQfO
— Kert Gartner (@kertgartner) 2016, 2月 19
VR空間に手を持ち込めるコントローラーと合わせるとより効果的だ。
VRの可能性は未知数
現在はVRと親和性が高いゲームや映画がコンテンツの中心になっている。架空の世界をよりリアルに感じたいと思うのは当然だろう。
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家庭用ゲーム機で使えるPSVRの紹介動画
getnews.jp
映画「ザ・ウォーク」のVRコンテンツ紹介。
さらなる展望としてVRカメラの開発と共にニュースやスポーツの配信も企画されている。
VR放送なら家の中に居ながら自分の目で見渡してニュース現場や競技場の雰囲気を感じられるわけだ。
www.pronews.jp
日本でもNHKがVRに参入する。
何より期待されているのがSNSとの連繋だ。私たちが旅行先やライブで体験した出来事をVRで記録し、他の誰かとより深く共有できる日も遠くないだろう。
VRを体験しよう
ここまで読んでくれた人はきっとVRに興味を持ってくれたと思う。私達がVRを楽しむ方法には幾つかあり、スマホで手軽に360度動画を楽しめるアイテムもある。
ハコスコ タタミ2眼 (iPhone5/6/6Plusサイズ対応)
- 出版社/メーカー: ハコスコ
- メディア: エレクトロニクス
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しかし、一度はVRHMDの高い性能を駆使したコンテンツを体験をして欲しいと思う。
そこでVRHMDを体験できる場所に関しての情報を幾つか紹介して終わることにする。
VR専門のニュースサイトMoguraVR
www.moguravr.com
VRの最新情報だけでなく国内で行われるイベント情報もここで手に入る。VRを楽しむなら興味があるイベントに足を運んでみるのが一番だろう。
Galaxy Shopで体験できるGearVR
www.samsung.com
スマートフォンを利用したGearVRの体験スペース。こちらが最も手軽にVRコンテンツを体験できる場だ。使い方や設定などはお店の人が教えてくれるので安心して欲しい。自分が体験したときは簡単なアンケートがあった。
G-Tune : Garageで体験できるOculus Rift
www.g-tune.jp
現状で最高峰のVR体験が出来るのがOculus Riftだ。そのOculus RiftをG-Tune : Garage 秋葉原店と名古屋店なら体験できる。
百聞は一見にしかず。VRを体験しにいこう。