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[感想・評価]Valiant Hearts The Great War (バリアント ハート ザ グレイト ウォー)レビュー

バリアント ハート ザ グレイト ウォー(日本語版) [ダウンロード]

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 UBIソフトが発売した第一次世界大戦を描いた2Dゲーム。絵本をイメージする優しい絵柄で歴史を表現している良作。

総評

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 絵本のゲーム化の可能性を感じる作品。絵本を詠み聞かせるように、親子で楽しむ事もイメージしていると感じさせる作り。ストーリーに添えられたパズルの難易度も適度で、大人から子供まで楽しめるだろう。素晴らしい音楽を聞きながら、第一次世界大戦で人類が得たもの・失ったものを手軽に学べる。


様々な戦争の被害者達

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 バリアントハートでは様々な登場人物の視点で描かれている。国籍の違いに引き裂かれる夫婦。敵国ドイツを憎めない主人公。強い憎しみを糧に戦うアメリカ人。命を平等に扱う衛生兵。そして戦争でも人類の相棒となる軍用犬。

 舞台は各地の戦場から宿営地、戦禍に見舞われる都市や農村まで様々だ。それに合わせて史実を読み時代背景を学び、日記を読むことでキャラクターの心情を知ることが出来る。

  

恐れず描かれている戦争の悲惨さ

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 優しい絵柄で描かれた物語りではあるが、その内容は中々に凄惨だ。多くの戦死者の姿が描かれ戦傷者の治療も痛々しい。 

 作中で言及される様に第一次世界大戦は「新しい戦争」の幕開けだった。定石と化した塹壕戦と機関銃の登場により戦況は膠着し長期化。
 そして長引く戦争が戦車や化学兵器と言った新しい兵器を登場させ、空爆や弾幕と名付けられた新たな戦術を誕生させた。

 そんな戦争の変化をゲームをプレイしながら学べるのは興味深い。

ピクサー映画を彷彿させる作り

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 バリアントハートは親子でプレイする事も想定したゲームだろう。キャラクターは喋らないしゲーム部ではテキストも出てこない。子供や言語圏が異なっても楽しめる作りなのだ。
 親がテキスト部を読んで解説し子供がプレイしながら体験する。そんな形で歴史を学ぶ教材としても適している。

 裏を返せばゲームとしては単調であり、歴史に興味を持てなかった場合は評価は厳しくなる。物語も決して明るい話ではないので重いと感じる人も居るかも知れない。そこは好みの問題だろう。

 私はプレイを切っ掛けに、科学や歴史・文化に興味を持たせてくれるゲームが好きだ。日本も被爆国として原爆をテーマに似たようなゲームを作って欲しい。


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