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 [ネタバレ]The Order: 1886 で学ぶ産業革命 part2 ~反乱軍と東インド会社~[考察]

The Orderをより楽しむための本シリーズ。

 

part2 となる今回は、反乱軍と東インド会社となる。

 

 1)東インド会社とは何か

 大航海時代にアジアとの交易独占権を与えられた特権会社だ。パイレーツ・オブ・カリビアンの映画でも登場している。この東インド会社によって中国から絹や陶器・インドから綿布がヨーロッパに持ち込まれた。

 持ち込まれたアジア製品は王室や貴族の嗜好品として人気を博し、その需要からこれらアジア製品の自国生産が望まれるようになる。アジア製品の模倣が産業革命の始まりだったのだ。自国で生産できるようになると徐々に民衆の生活圏にも陶器・綿布は現れるようになる。

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当時のイギリス紳士・淑女の服装もきちんと再現。

 

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 わざわざ工房を登場させるのが凄い。

 

 アジアの製品が国内で生産されると東インド会社は自国で生産が難しい作物の輸入に力を注ぎ始める。その為に他国を植民地として支配し紅茶・タバコ・砂糖を生産する様になる。この過程でイギリスはインドを始めとする世界各地を征服していく事になる。

 

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イギリスと言ったら紅茶!この時代から始まった。

 

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 タバコやパイプもここから始まる。

 

 2)高い貧民率

 産業革命によって民衆の中で資本家と労働者と言う格差が生まれた。さらに移民を始めとする多くの労働者は、馬車等の交通機関を利用して通勤する余裕はなく工場近くを住居とするしかなかった。そうしてスラム化していった街の一つがホワイトチャペルである。

 スラム街は工場から出る排煙に悩まされたりとその生活環境は劣悪であった。そんな中で資本家に対する不平不満は高まっていき、政治的にも資本家と民衆の間で反発することが増えていた。

 

 3)インドのジャンヌ・ダルクと呼ばれたラクシュミ

 インド大反乱で名を馳せた実在の人物。

私財を投じて集めた傭兵と民衆から募った義勇軍を率いた彼女は、7月にイギリスと結ぶことで利権を得ていた近隣の藩王、領主の攻撃を自ら陣頭に立って撃退し、8月にジャーンシー城を奪還して、一躍反英闘争の旗手として知られるようになった。

  引用:ラクシュミー・バーイー - Wikipedia

  このインド大反乱の後にインドを統治していた東インド会社は、責任を押し付けられて解体されることになる。

 

 

 

 ゲームにおける反乱軍と東インド会社

  物語の始めは騎士団と半獣の戦いに格差から反乱を起こした民衆が加わる三つ巴の戦いの様に描かれている。物語が進むにつれて貧民が集まるホワイトチャペルに半獣が集まっており、反乱軍と半獣が結託して国家の治安を乱しているのではないかと言う疑念が生れてくる。

 実際はスラム街と言う環境が半獣や反乱軍が身を隠すのに適していただけで、特に協力していた訳では無かった。むしろルーカン卿の様子からも半獣(特にライカン)は、一部の者は正体を隠しながら人間と共存しているのかも知れない。

 何にせよホワイトチャペルは東インド会社の兵力増強と半獣の安全を守る絶好の場所であった。ここで吸血鬼に感染させられた人間がインドやアメリカに持ち込まれ、イギリスの植民地支配に役立てられていたのだろう。反乱軍はホワイトチャペルの住人を犠牲にする東インド会社と戦っていた事になる。

 

 そんな反乱軍の指導者ラクシュミは真のヒロイン枠だけあって、史実通りのカリスマ性と言うか聖女らしさが上手く表現出来ていたと思う。

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 銃を向けられても動じない姫様。

 

 指導者でありながら積極的に危険な活動も行う彼女に、インドと無関係な移民や貧民で構成される反乱軍が従っているのも分かる。(上手く扇動しているとも言えるが)

 終盤に腹心であるデヴィもデレてくるので、プレイヤーの心も一気に反乱軍寄りになる。拷問してくれた騎士団と気持ちよく戦えるってもんだ。

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仲間として認められた瞬間?

 

 

 反乱軍の敵となる東インド会社は前述したようにイギリス発展の立役者である。周辺国から搾取の様な形で利益を獲得するのは日本も通った道だ。ゲーム中でも東インド会社が流通させた煙草や紅茶がイギリス国民に広く楽しまれている様子が伺える。

 

 このゲームで一番の驚きはイギリスが舞台でありながら、大英帝国の影の部分に着目し「脱植民地を目指すインド側を正義」として描いたことだった。

 

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