人生はFPSゲーム。時々哲学。

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サイド・エフェクトの感想(ネタバレ)

 ネタバレありなんで見てない人はここで止めとこう。
ネタバレでも良いよって人は続きをどうぞ。






 取り合えず見終わった感想をだらだら書く。

 丁寧に伏線が張られていて驚くほどの結末とは言えないけれど、満足感が得られるストーリーであった。結末を知った上で改めて見ると、色んなシーンに様々な意図があった事に気が付くので面白い。

 まずは見ていて実在する製薬会社や薬の名前が並ぶ事に驚いた。問題となる薬は架空と言えどこれってOKなの?製薬会社と副作用に関して争う話じゃないのか?ってね。この時点でこの映画は製薬会社寄りのストーリーである事を示唆していたんだね。
 副作用だと嘘をつき利益を得ようと言う人間は決して少なくないだろう。特にこの領域ではね。

 
 治験協力で多額の報酬が得られることに触れ、主人公の敵が製薬会社になりそうだと匂わせたりと実に上手く「事が起きるまで」見ている人を騙したと思う。
 
 ヒロインの病状も上手く表現していた。化粧っけもなく疲れた空気を纏っている。回想シーンとの比較で一層それが印象付けられる。同時に幾つかの違和感は確かに感じた。
 盗撮されていたホテルのロビー(?)のシーンではヒロインが変に色っぽくてあれ?って思った。あの足とかどう考えても変だろ。他のシーンと比較しても不自然だった。夫の前より色気出てた気がするね。


 
 あの時既に主人公はヒロインに対して特別な感情を持って居たのだろう。手に触れるシーンが有ったが、あんなことは通常しない。特に過去に嫌な思いをしているのだし。

 特別な感情を抱いた主人公は「事を起こした」彼女を副作用の影響で責任能力が無かったと擁護する。事前に似たような症状の報告を受けているし妥当な判断で有るんだが、本当に中立的な立場で有ったかと言うと微妙な所だろう。


 あの女医が副作用の報告論文を出している辺りも恐れ入ったね。本当は副作用で夢遊病なんて起こさないのだろう。保険も兼ねて事前に論文を出す辺りも細かい。これで責任能力が無いとして無罪になる可能性を上げて居たわけだ。結果としてはコレが主人公に確信させる原因になった。



 精神科を題材にした映画にしては「まともに医療映画」をやっている。異常者や変質者として描かれる事が多いので珍しいね。製薬会社の名前使うだけあって、病状や治療に関してもきっちり作ってあった。
 決して話題性が高かった訳では無いが優れた作品だ。偏見が少ない割とリアルな精神科を覗けるだろう。